(『天然生活』2023年5月号掲載)
心をまっさらにして、いま向かうべき方向へ
お寺での一日は住職との読経から始まり、その後、坐禅をします。
「10分ほどのことですが、坐禅をやるとやらないでは全然違う。ヨガもそうですが、体に小さな力しかかからないので呼吸が楽になる。頭のなかがおのずとクリアになり、向かうべき方向が見えてきます。座禅後は力がわいて、テキパキとスムーズに動けるんです」
朝食にいただくのは、お粥。修行中は粥を炊く役が回ってくるので、コツがしっかり身についています。
「沸騰したら菜箸でかき混ぜて、お米を躍らせると、芯まで火がとおっておいしくなります。おなかがほっと温まり、腹持ちよく、食べすぎない。修行僧が肌つやがいいのはお粥のおかげじゃないかな」
朝の掃除も、毎日のこと。まずお香で清めてから掃除し、庭の花を活けて、みんなに心地よい空間に。
「そうして場が整うと、気持ちよく一日が過ごせます。お寺は、だれにとっても安心できる場所。食や音楽なら気軽に親しんでもらえるので、音楽会やマルシェを開いて、集まる場をつくっています。いまここに生きていることを実感すると、人は元気になる。お寺を通して、“元気になるきっかけ”をつくっていきたいですね」
部屋ごとに香炉を置き、お香を焚く。美しい練り込みの香炉は、陶芸をされる檀家さんからいただいたもの。
岩水さんの「朝の整える心がけ」
● 朝日を浴びて太陽に手を合わせる
● 裏山を歩いて自然のなかで深呼吸
● お香を焚いて場を浄化する
〈撮影/千葉亜津子 取材・文/宮下亜紀〉
岩水ゆきゑ(いわみず・ゆきえ)
岐阜市にある曹洞宗の寺院、林陽寺副住職。NYハタラジャヨガ指導養成コース200時間を修了し、ヨガ教室「凪の木」を主宰。メキシコへ留学し、スペイン語の通訳としても活動。修行中は典座寮の菜頭を担当し、精進料理教室も行う。お寺ではマルシェや音楽会、坐禅や写経のワンコイン修行(参加費500円)も。インスタグラム@housetsu_yukie
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです