(『天然生活』2023年5月号掲載)
心と部屋を整え、“いつもの朝”を過ごす
現在に至るまで、起伏の大きい日々を送ってきた麻生さんにとって、「ふだん通り」の朝が過ごせるのは心強いことです。
急逝した父の代わりに若くして建設会社を率いたり、カフェや宿の運営で4拠点を飛びまわる生活をしたり、大家さんの養子になって介護をしたり……。
いつ想定外のことが起こるかわからないような毎日でも、せめて朝ぐらいは、自分の手のなかで物事が収まっている感覚でいたいのです。
洗面所でチョビに水をあげたあと、麻生さんは養生のためにお風呂に湯をはり、漢方薬を飲みます。
「若いころから身内を何人か見送ってきたし、体には気をつけているんです。湯船につかるとリセットされる感覚があって、朝だけでなく夜も入っています」
洗濯、掃除、植木の水やり、花びんの水替えなど、ひと通り部屋を整えたら、パートナーの林下英治さんと朝食をとります。
「僕にとって朝ごはんは、おなかを満たす食事というよりも、コーヒーを飲むための習慣です。だから、コーヒーに合わせてパンとフルーツを添えるだけ。これは実家時代からずっと変わりません」
しばしゆっくりしたあとは、英治さんの出勤を見送って、仕事の時間に。
いつもの朝を過ごせた安心が、一日の原動力です。
パンにはいつも「帝国ホテル 特選発酵バター」と「サンジュリアーノ」のマーマレード。
麻生さんの「朝の整える心がけ」
● 「ふだん通り」を大切にする
● 家族は必ず見送る
● 窓を開けて一日を切り替える
〈撮影/馬場わかな 取材・文/石川理恵〉
麻生要一郎(あそう・よういちろう)
パートナーと愛猫の2人+1匹暮らし。知人にケータリングしていたお弁当が評判となり、雑誌への料理レシピ提供や、食や暮らしのエッセイを執筆するように。著書に『僕の献立 本日もお疲れ様でした』『僕のいたわり飯』(ともに光文社)があるほか、雑誌『ポパイ』、「北欧暮らしの道具店」のWEBなどで連載中。インスタグラム@yoichiro_aso
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです