• 寒い冬が明け、暖かく過ごしやすい春がやってきます。縮こまった体を、めぐりのいい体にするために、家庭でも簡単&手軽にできる、毒出し健康法を工藤内科院長の工藤孝文先生に教わりました。今回は、体のめぐりをよくする「春の食材を食べる」毒出しを紹介します。
    (『天然生活』2024年4月号掲載)

    医師に教わる“毒出し”健康法

    私たちの体の「毒」とは、ずばり体にとって余剰なものです。たとえば、脂質や糖質は適切な量であればエネルギーになりますが、とりすぎるとコレステロールや中性脂肪の増加につながり、動脈硬化などの生活習慣病を招いてしまいます。

    それらをとりすぎていないとしても、体の代謝機能が低下していれば「毒をためてしまうことになる」と、内科医の工藤孝文先生は言います。

    「体内の毒を出すのは、主に肝臓と腎臓の働きです。肝臓には、アルコールなどの有害物質を解毒する機能と、糖質などの栄養を分解、貯蔵、放出する役割があります。また、腎臓には、さまざまな老廃物を排出する役割があります」

    それらの体の働きを促すためには、自律神経を整えることが大切。

    「自律神経は、アクセル役の交感神経と、ブレーキ役の副交感神経から成り立ち、あらゆる臓器や血管の働きを調整しています。どちらかが極端にならず、バランスがとれていることが心身の健康につながります。春は環境の変化も大きくなることから、ストレスで自律神経が乱れやすい季節。意識してケアしたいですね」

    春の食材を食べる

    漢方には「医食同源」という、バランスのとれた食事が病気を予防するとの考えがあります。

    旬の食材はたくさん出まわっているから手に入りやすく、その季節の体に必要な栄養が含まれています。

    おいしさもピークなので、シンプルな調理法で食べられて栄養を損ないにくいのもメリット。

    体のめぐりをよくする春の食材を食べるのが、毒出しの近道です。

    春の山菜を上手に取り入れる
    老廃物を排出する

    画像: 春の山菜を上手に取り入れる → 老廃物を排出する

    春、芽吹きのころの山菜は栄養が豊富。食物繊維、ビタミン類が含まれているほか、ふきのとう、たらのめ、うど、たけのこにはカリウムが含まれているため、利尿による老廃物の排出が期待できます。

    また、ふきのとう、こしあぶらに含まれるポリフェノールや、菜の花、こごみに含まれるカロテンには、抗酸化作用も。

    苦味やえぐみの強いものはしっかりあく抜きをし、食べすぎに注意。旬の味を楽しみながら、ほどよく取り入れましょう。

    キャベツを常備してつけ合わせに
    悪玉コレステロールを減らす

    画像: キャベツを常備してつけ合わせに → 悪玉コレステロールを減らす

    悪玉コレステロール値を下げるのに効果的なのは、なんといっても食物繊維をとることです。

    キャベツには、不溶性の食物繊維が多く含まれているため、悪玉コレステロールを吸着して便となって排出する働きがあります。

    そのほかにも、肝機能を高めて胃の粘膜を修復するビタミンUと、脂肪の代謝をスムーズにするイノシトール、免疫力を高めるビタミンCを含んでいるキャベツは万能野菜。

    栄養を逃さないためには、ぜひ生で。

    せん切りにし、水にサッとくぐらせる程度で食べるのがおすすめです。

    葉の巻きがゆるくてやわらかい春キャベツを、積極的に取り入れて。

    新玉ねぎをサラダやマリネに
    血液サラサラになり、むくみを改善

    画像: 新玉ねぎをサラダやマリネに → 血液サラサラになり、むくみを改善

    血液の循環が悪くなると、体にむくみが発生。

    東洋医学では血流が滞った状態を「瘀血(おけつ)」と呼び、むくみのほか、冷え、肩こり、頭痛などの症状が表れるとしています。

    瘀血の解消におすすめなのが、玉ねぎを食べること。玉ねぎを切ると目に染みる辛味成分の硫化アリル(アリシン)には、血液をサラサラにする効果があります。

    アリシンは水に溶けやすく、熱によって損なわれるので、この時季、生で食べやすい新玉ねぎはとくにとりたいところ。

    水にさらさず、スライスをオイルマリネにしたり、空気にさらしてサラダにしたり、みじん切りでタルタルソースに加えても。

    かぶを桜えびとスープに
    胃腸を温め、冷え予防に

    画像: かぶを桜えびとスープに → 胃腸を温め、冷え予防に

    体が冷えていると血行が悪くなり、手足など末端の冷えをさらに招いてしまうという悪循環に。

    冷えは免疫力を低下させるため、病気のリスクを高めることにもつながります。

    放置せずに入浴、運動、マッサージで血行を改善するとともに、体を中から温める食材を取り入れましょう。

    水分代謝を調節するかぶは、白い根の部分にビタミンCや消化酵素アミラーゼを含み、葉の部分にカロテン、ミネラル、ビタミンを含んでいます。

    薬膳では体を温めるとされ、同じく体を温める桜えびと一緒にスープをつくれば、効果倍増で胃腸ポカポカのメニューに。



    <監修/工藤孝文 構成・文/石川理恵 イラスト/murano>

    工藤孝文(くどう・たかふみ)
    福岡県みやま市の工藤内科院長。福岡大学医学部卒業後、アイルランドとオーストラリアへ留学。現在は、糖尿病などの生活習慣病、漢方治療などを専門に地域医療を担う。テレビ、雑誌で活躍するほか、『専門家がしっかり教える健康図解 毒出し』(日本文芸社)、『10万人がやせた 今日からできる 神やせ習慣』(主婦と生活社)など著書多数。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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