• 両親から受け継いだ京町家で、家庭料理や保存食の教室を営む、山上公実さん。梅干しや味噌を始め、さまざまな保存食づくりを楽しんでいるといいます。そんな山上さんの昔ながらの台所を見せていただきました。
    (『天然生活』2019年11月号掲載)

    食材をむだにしない、収納の工夫を積み重ねて

    さまざなま保存食や乾物に加え、料理教室の食材や調理道具など、多くのものが集まる「キッチンみのり」の台所。

    もちろん、ここは山上さん夫婦の日々の食事を担う場所でもあるため、使い勝手を考えた工夫があちこちに見られます。

    画像: 京町家ならではの奥行きのある台所。漆喰の壁や土間、「火袋」と呼ばれる吹き抜け天井が、築約90年の歴史を伝えています

    京町家ならではの奥行きのある台所。漆喰の壁や土間、「火袋」と呼ばれる吹き抜け天井が、築約90年の歴史を伝えています

    山上さんが何より心がけているのは、「常に把握できる食材の収納」です。

    冷蔵庫やかごに入れるときは上から重ねずに立てて並べる。細々したものは透明の袋や容器にまとめて入れる。ラックや箱の側面にラベリングをする。

    「何が入っているか、在庫がどれくらいあるか」をできるだけ可視化することで、使い忘れや仕入れの重複を防いでいるのです。

    収納に使う容器やびんは、「同じものをそろえておくと見た目の統一感もあり、たとえひとつふたが割れてしまっても代用できる」そう。

    画像: 棚には手づくりしている保存食のびんがずらり

    棚には手づくりしている保存食のびんがずらり

    保存食には劣化の少ない焼物のかめや発酵に適した木桶を愛用する一方で、収納にはスタッキングできたり、軽量で動かしやすいなど、使う場面に合う手頃なものを選んでいると教えてくれました。

    天窓から光が差し込む吹き抜け天井や、水でさっと洗い流せる土間など、先人が大事に使ってきた京町家を舞台に、保存食や乾物料理を伝える「キッチンみのり」。

    どこか懐かしく、ほっとくつろげるその空間を訪ねれば、昔ながらの知恵をいまに生かす、さまざまな暮らしのヒントがあふれています。


    〈撮影/伊藤 信 取材・文/山形恭子〉

    画像2: 自家製保存食を使って… 梅味噌だれ

    山上公実(やまがみ・ひろみ)
    京都市生まれ。実家は鮮魚・乾物店を営む。飲食店での調理経験を経て、2016年秋より「キッチンみのり」を主宰。乾物を使った家庭料理の教室をはじめ、保存食の会やゲストを招いてのワークショップなどを開催。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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    天然生活2025年5月号では、台所の特集をしています。ぜひあわせてお楽しみいただけましたら幸いです。

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    画像: 築90年の「京町家の台所」で楽しむ保存食づくり。息づく‟先人の知恵”と重ねた工夫/キッチンみのり・山上公実さん

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