(『天然生活』2019年11月号掲載)
木に包まれ、温かな雰囲気が漂う
料理家、国際中医薬膳師・豊村 薫さんの台所

東京から故郷の岩手に戻り、両親が残した家を受け継いだ料理家で国際中医薬膳師の豊村 薫さん。
父がつくり、母が愛した台所は、奥村さんにとっても心休まる場所なのだそう。
木に包まれ温かな雰囲気が漂う、自慢の台所と収納の工夫を伺いました。
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豊村家の台所の間取り図
父がつくり、母が使い込んだキッチン。
完璧な場所だと感じていたから、直したのは水と火のまわりのみ。
豊村さんにとってキッチンは心休まる場であり、夢を見る場所なのです。

1 調理台まわり
風にそよぐ竹林が見えるシンク前は台所の一等地。出窓があることで収納スペースがぐんと増え、よく使うものはここに並びます。

シンク下の棚には、ボウルやすり鉢などよく使うツールが集合。オープンなので取り出しやすく便利です。可動式の木箱はごみ箱に。

コンロ脇にもオープン棚をしつらえ、まな板などを収納しています。
「45年前に家を建てた当時の材木を使い、建具屋さんに削ってもらったまな板は私の相棒」。

ガス台脇はトレイやカットボードの定位置
タオルウォーマーをシンクの脇に設置。「冬場でもふきんやキッチンクロスがふんわりと乾いて気持ちいいです」

2 収納
出窓の出っ張り部分を棚として活用しています。シンク右側部分には漬物のかめがずらり。「漬物名人の母の仕事を引き継いでいます」

窓の上には棚板を渡し、普段あまり使わない大きな鍋を並べています。吊るしたとうがらしやにんにくも素敵なアクセントに。

窓上の棚板には大きな鍋類を
3 食器棚
45年前の建築時に大工さんが製作したもの。高さも幅もあり収納力抜群なのだそう。父が集めていた有田や鍋島の染付の器が並びます。隣には額縁を再利用した鏡を設置しています。

小さなお猪口は竹かごに入れて重ねて収納しています。「料理会や教室のため、器は6組以上でそろえることが多いです」

4 作業台
かつて使っていた机は、中と下に板を通し車輪を付け作業台として再生。手前のバーは父が愛用したそば打ち用の棒。

5 食品庫
壁の一面に黒板塗装を施してもらい、予定を書きつけたり、メモを貼ったりに活用しています。モダンなスイッチパネルは特注品なのだそう。

奥には洗濯機を設置。台所に立ちながら、洗濯も同時進行でできて便利です。小さな洗面台もあり、ここで素材の下ごしらえをすることも。

〈撮影/萬田康文 取材・文/鈴木麻子〉

豊村 薫(とよむら・かおり)
料理作家、国際中医薬膳師。無添加をテーマに体が喜ぶ料理を提案。岩手県・一関在住。主宰する「薫風農園」のサロンでランチを供する活動や、年に数回、東京で料理教室も。https://kunpu-noen.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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天然生活2025年5月号では、台所の特集をしています。ぜひあわせてお楽しみいただけましたら幸いです。