• 台所は暮らしの中心です。そして、毎日の幸せはここから生まれます。家族の健康を支えたり、人と時間を共有したり、自分の楽しみを見つけたり。今回は、カピン珈琲・亀谷靖之さん、千晴さんの笑顔あふれる台所を拝見します。
    (『天然生活』2020年9月号掲載 )

    物語を感じる古い道具が多いから、自然と見せる収納が基本になりました

    山口を拠点に出張喫茶などの活動で知られる、「カピン珈琲」の亀谷靖之さん・千晴さんご夫婦。

    2011年より築50年の日本家屋を改装して住み始め、翌年には敷地内に茶室を思わせる、小さな珈琲の販売所もオープンしました。

    キッチン台は掃除しやすいよう、脚がないものを完全オーダー。L字型の金具で後部を固定したあと、左右の壁にも支えをつけてしっかりと補強しています。

    シンクを使いやすいよう横幅90cmと大きめにしたのもこだわりで、蛇口は2つあり、右がこの界隈で使用されている良質な地下水、左が通常の水道水なのだとか。

    また、扉付きの食器棚や引き出しなどがなく、見せる収納が基本となっているのも特徴です。食器や台所道具は気に入っているものばかりなので隠す必要を感じなかったことと、靖之さんが無類の骨董好きであることも理由のひとつ。

    アンティークにはひとつひとつにストーリーがあり、暮らしのなかで愛でることで、いっそうロマンを感じられるのです。

    「最初は古い柱時計などを買っていたのですが、次第に暮らしのなかで実用品として使える道具に関心が移っていきました。メンテナンスしつつ、気軽に取り入れています。コーヒーもいわば、手間を楽しむ文化。豆を挽くとか、ドリップするとか。茶道でも道具を清める所作があるでしょう。台所仕事にも、そういう要素があると面白いなと。サラダにアンティークのこしょうミルで仕上げをすることで、料理に物語が生まれる。そういう瞬間が好きで、ミルを使いたいがためにサラダをつくっている部分もありますね」と靖之さんは笑います。

    亀谷さんの台所を拝見

    画像: 亀谷さんの台所を拝見

     調理台まわり

    オーブンレンジや鍋を収納しているキッチンワゴンは、この家に住み始めてしばらくしてから靖之さんが手づくりした。

    下にキャスターを付けているので、ワゴンごと引き出すことができ、掃除しやすい。

    画像1: 1 調理台まわり

    英国製のアンティークの靴箱に、ラップやアルミホイルなどを収納。

    ほどよい深さがあるので、生活感をカバーしつつ、たっぷり収納できる。

    画像: 靖之さんが若いころ買ったお気に入り

    靖之さんが若いころ買ったお気に入り

    引っ越した当初は市販のワゴンを使っていたところ、必要な鍋や道具が定まってきたのでDIYで新たなワゴンを製作した。

    画像: キャスター付きだから取り出しやすい

    キャスター付きだから取り出しやすい

    明るく気持ちがいい台所をつくる、大きなガラス窓。

    ここからの風景も家の一部と考え、窓から見える庭の木に靖之さんが木製の鳥かごを付けるなど、遊び心ある工夫も。

    画像2: 1 調理台まわり

    キッチン台の裏にコンパネを貼ることで、ぬれた手をふくキッチンクロスや、キッチンペーパーを掛けられるフックを取り付けられるようにした。

    画像: フックやビスの形状にもこだわりが

    フックやビスの形状にもこだわりが

    キッチンスケールやスパチュラ、おろし金などの細々した道具は、ワゴン上部にトレイを置いて収納。

    専用の引き出しがなくても、すっきり片づく。

    画像3: 1 調理台まわり


    <撮影/森本菜穂子 取材・文/野崎 泉 イラスト/須山奈津希>

    亀谷靖之、千晴(かめたに・やすゆき、ちはる)
    2008年より「カピン珈琲」として出張喫茶などを中心に活動。2012年、山口市の自宅敷地内に、珈琲豆御渡所をオープン。不定期で自宅の多目的スペースを活用した展示会も行う。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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