タンパク質の朝ごはんを“続ける”ためのつくりおき
春眠暁を覚えず。
こんな言葉が浮かぶ季節になりました。わたし、漢文は苦手だったのですが、この言葉だけはしっかり刻み込まれ、春にぽかぽかと暖かくなってくるとつい口をついて出てしまいます。いや、単に、朝起きられないことの言い訳なのですが。
朝起きられなくても、時間がなくても、なるべくなら朝ごはんは食べたいですよね。本当に困ったときにはわたしもコンビニやカフェで朝ごはんを買うこともありますが、それではなかなか思うようにはタンパク質は摂れず、家で準備をしておいて手早く食べることの大切さを痛感しています。その朝ごはんを支えてくれるのはやはり、つくりおきです。
タンパク質朝ごはんを食べよう! とこうしてお伝えしているうち、「ゆで卵をいつもつくっておくようになったよ」と友人たちからも言われるようになりました。
言われるまで、実はわたしはゆで卵は朝起きてからつくっていたのですが(ゆでたての方が割ったときに黄身がきれいに見えるので、写真を撮る上ではよいという料理家ならではの事情もあります)、なるほど、つくりおきがあると朝ごはんにはよいわね、とつくりおきにようやく目が行くようになりました。
というのも、わたし自身は時短料理や子育て料理をメインに仕事としてきた割に、実はつくりおきはあまり得意ではないのです。

「便利だな」とはもちろんわかっているのですが、最後までおいしく食べられないことが多くて。残ってしまったつくりおきを詰め込んで最後はカレーにしては「あの煮ものの残り、カレーに入れたでしょ」と子どもたちに指摘されるのがオチだったのですが、「朝ごはんのために使える」と気づいてから、がぜんつくりおきが楽しくなってきました。
朝は本当に慌ただしく、さっと何かを食べたいときにいちいち調理する気分ではない日も多い。
そんなときにも、つくりおきがあれば、すぐに食べることができます。つくりおきの使い勝手のよさにあらためて気づかせてくれたのが、タンパク質の朝ごはんでした。

田内しょうこ(たうち・しょうこ)
「時短料理をサステナブルな知恵に」をモットーに、ゆとりを生みだすための時短の知恵を書籍や雑誌、ウェブサイトで発信。セミナーや出張教室のほか、食と暮らし、子育て関連の情報発信を行う。著書に『時短料理のきほん』(草思社)、『働くおうちの親子ごはん』シリーズ(英治出版)、『汁かけごはん』(駒草出版)など。
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