• 茨城・筑波山麓で自給自足的暮らしを送るフリーライター・和田義弥さん。著書『家庭菜園の超裏ワザ』は、家庭菜園誌『やさい畑』の人気連載をまとめた、ちょっと過激でユニークな栽培実験の記録です。今回は、本書のなかから極甘トマトを育てる荒ワザを紹介します。

    考察
    根が地下水に到達するまでが、絞り効果のリミットか

    画像1: 考察 根が地下水に到達するまでが、絞り効果のリミットか

    最高糖度11.1度を記録したこの栽培法ですが、高糖度が出たのは7月のみ。8月以降は普通栽培と変わらない糖度に落ち着いてしまいました。

    画像: 7月に入ると実をつけ始め、10月下旬まで収穫が続いた。高糖度も実現

    7月に入ると実をつけ始め、10月下旬まで収穫が続いた。高糖度も実現

    画像2: 考察 根が地下水に到達するまでが、絞り効果のリミットか

    これは、おそらくなんらかの理由で絞りができなくなったからではないか。そこで根の様子を探るために塩ビ管を切断してみました。

    もともとトマトは乾燥地帯に生育し、主根を地中深く伸ばして水分を吸い上げますが、塩ビ管の中の根はまさにそれ。

    鉛筆ほどの太さの主根がまっすぐ地面に向かって伸び、水を求める執念を感じさせます。しかし、問題はその後。

    画像1: トマト農家に負けない「極甘トマト」を育てる。家庭菜園の超裏技! ちょっと過激でユニークな栽培実験/和田義弥さん
    画像2: トマト農家に負けない「極甘トマト」を育てる。家庭菜園の超裏技! ちょっと過激でユニークな栽培実験/和田義弥さん
    画像: 塩ビ管を電動工具で半分に割り、土を払ってみると、根は地下まで伸びていた

    塩ビ管を電動工具で半分に割り、土を払ってみると、根は地下まで伸びていた

    塩ビ管を掘り出すために地面を掘り下げていくと、地下60cm付近から水がしみ出てきました。

    わが家の畑の一部は田んぼを埋め立てた土地で、地下水位が高いのです。

    画像: 地下60cmの管の先まで掘ってみると、地下水がしみ出てきた

    地下60cmの管の先まで掘ってみると、地下水がしみ出てきた

    高糖度を記録した地上高100cmと120cmの塩ビ管は、おそらく8月には根が地下水に達したのでしょう。他の3本は、もっと早い段階に根が水を吸収できたはず。その時点で絞り効果は切れていたのです。

    地上高120cmと100cmでは糖度が逆転しましたが、株の個体差もあるかと思われます。いずれにせよ、高層ほど根が地下水に達するまで時間がかかるため絞り効果が高く、確実に糖度を向上できます。

    画像: 地上部は5m、花房数およそ17。主枝のみの1本仕立てとした。地上高120cmの塩ビ管で茎の長さは5mにもなった

    地上部は5m、花房数およそ17。主枝のみの1本仕立てとした。地上高120cmの塩ビ管で茎の長さは5mにもなった

    今回は地下水位が高い畑だったこともあって絞りの期間が限定されましたが、もっと条件のよい畑なら、もう少し長く高糖度トマトが収穫できるかもしれません。

    あとは塩ビ管をどこまで長く伸ばせるか。極甘トマトへの挑戦は、さらなる高みをめざして続きます。

    本記事は、『家庭菜園の超裏ワザ』(家の光協会)からの抜粋です。

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    『家庭菜園の超裏ワザ』(家の光協会)

    『家庭菜園の超裏ワザ』(家の光協会)|和田義弥(著)

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    <撮影/阪口克>

    和田義弥(わだ・よしひろ)
    1973年茨城県生まれ。フリーライター。20〜30代前半にオートバイで世界一周。40代を前にそれまで暮らしていた都心郊外の住宅街から、茨城県筑波山麓の農村に移住。昭和初期建築の古民家をDIYでセルフリノベーションした後、丸太や古材を使って新たな住まいをセルフビルド。約5反の田畑で自給用の米や野菜を栽培し、ヤギやニワトリを飼い、冬の暖房を100%薪ストーブでまかなう自給自足的アウトドアライフを実践する。著書は『増補改訂版 ニワトリと暮らす』(グラフィック社)、『一坪ミニ菜園入門』(山と渓谷社)など多数。



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