• 大人世代が抱える「こころとからだ」のお悩みや疑問について、頭痛・漢方専門「らいむらクリニック」の來村昌紀先生が、やさしく回答。今回は、冷え性についての温泉の効果と、お風呂でできる対策を知りたいという、もえかさんのお悩みにアドバイスをお送りします。

    :温泉は冷え性に効きますか? お風呂でできる冷え性対策も知りたいです

    画像1: 温泉やお風呂で「冷え性」は改善できる? 冷えに効く温泉の秘密と“お風呂で実践”冷え性対策|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    今後の参考に。冷え性について勉強中です!

    学校の学習で、冷え性について学んでいます。そこで家庭でもできる簡単な対策はないかな? と調べています。調べていくうちに温泉には冷え性に対しての効果があるのか気になりました。実際はどうなのでしょうか?

    また、家庭のお風呂でも冷え性を対策できる入浴の方法はあるのでしょうか?

    (もえか さん 17歳/学生)

    :温熱効果の高い温泉はおすすめ。冷えを改善する入浴方法も紹介します

    画像2: 温泉やお風呂で「冷え性」は改善できる? 冷えに効く温泉の秘密と“お風呂で実践”冷え性対策|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    すてきな学びですね。まずは体の仕組みから、冷えと温泉・お風呂の関係をみていきましょう

    冷えの改善方法は主に2つ。内側と外側から体を温めること

    今回はもえかさんからの冷え性に関する温泉の効果や家庭でもできる入浴の仕方のご質問です。

    冷え性の原因には色々とあるのですが、改善策としては体の内側から温める方法外側から温めて、血流をよくする方法があります。

    冷えの原因については以前の記事もご参考ください。
    部分的な「冷え」には理由がある? 冷え性の改善におすすめの習慣・漢方

    人の体は、生命活動を維持するために常に体温を一定に保とうと働いています。お風呂に入って体の外側から熱が与えられると、その熱を早くほかの場所に移して過剰な熱を分散させるために、血液の循環がよくなります。

    このため温かいお風呂に入ると、血行がよくなり、冷えが改善し、新陳代謝もよくなります。

    では温泉と普通の家のお風呂でこの体を温めて血流を良くする効果に違いはあるのでしょうか?ということなのですが、温泉の方が、血流をよくして冷えを改善する効果が高いといえます。

    「温泉」と「お風呂」体に働きかける効果の違い

    温泉には普通の水と違ってさまざまなミネラル成分が含まれていて、その直接的な働きにより温熱効果を高めてくれるからです。

    温泉に入ると、家庭のお風呂以上に血流増加、血管拡張が促されて血行促進効果をもたらし、すぐに体が温まります。さらに、入浴後も体の温度が冷めにくいという保温効果も期待されます。つまり湯冷めしにくいということですね。

    冷えに効果のある温泉の泉質3つ

    冷えに効果のある泉質とし代表的な3つを挙げてみますね。一つ目は「塩化物泉」です。塩化物泉は別名「食塩泉」とも呼ばれるとおり、塩(塩化ナトリウム)が主な成分の温泉です。

    この泉質の温泉に入浴すると、食塩成分が肌の表面に付いて体温の放散を防ぐため、保温効果が長続きします。そのため塩化物泉は「熱の湯」とも呼ばれ、入浴後もずっとぽかぽかして、冬の季節にはとくにおすすめの泉質です。少し話が逸れるのですが、お料理でも鯛などを塩で包んで焼く塩釜料理などがありますが、これも熱をよく伝え保温する効果もあるからだと思います。

    塩化物泉の主な温泉地には、熱海温泉(静岡県)、城崎温泉(兵庫県)、皆生温泉(鳥取県)などがあります。

    2つめは「硫黄泉」です。温泉特有の匂いの源になる硫黄ですが、この硫化水素には抹消血管を拡張させる作用があり、血流を良くして冷えの改善に効果があります。

    「硫黄泉」の主な温泉地には、登別温泉(北海道)、月岡温泉(新潟県)、別府温泉(大分県)などがあります。

    3つめは「二酸化炭素泉」です。二酸化炭素も末梢血管の拡張と血流の増加作用が強く、冷えの改善に適しています。心臓に負担をかけずに抹消まで血液循環を促進する働きから、「心臓の湯」と呼ばれることもあります。

    この「二酸化炭素泉」の主な温泉地には、有馬温泉(兵庫県)、長湯温泉(大分県)、下仁田温泉(群馬県)などが挙げられます。それぞれの泉質については検索して、お近くの温泉地を調べてみてくださいね。

    自宅のお風呂で実践。冷え性を改善する入浴方法

    自宅でもできる冷え性改善によい入浴方法も紹介します。

    ひとつめは長時間微温浴です。39℃以下のぬるま湯に長く浸かって体の芯から温める方法です。42℃以上の高温だと血圧の変動などが起こり、心臓への負担も心配ですが、このぬるま湯であれば安心です。

    それともう一つは足湯です。ふくらはぎまでの足湯を15分から20分くらい行うと先ほどの熱を均一にする作用が働き、全身の血流が良くなります。このとき足湯の温度は入浴するお風呂の温度より1〜2度高めにするとより効果が発揮できます。

    また現在ではさまざまな入浴剤が売られているので、たとえば上記温泉の泉質で述べたような、炭酸の泡が出てくる入浴剤がありますし、塩化ナトリウムや硫黄成分を含んだ各地の有名な温泉成分の入浴剤もあるので、うまく利用するのもよいと思います。

    今回の記事がもえかさんはじめ、冷え性でお悩みの皆様の少しでも参考になれば幸いです。

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    〈イラスト/コグレチエコ〉

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    來村昌紀(らいむら・まさき)

    頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
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