「鉄フライパン」の基本の知識

素材の特徴
鉄は錆びるが、「濡らしたままにしない」「使い込んで油を馴染ませる」に気をつければ怖くはない。中華鍋の場合は、店頭での錆防止にニスを塗ることが多い。初めて使う時に空焚きして「焼き切る」作業は、このニスを除去するため。
熱源
直火がメインだがIH可能なものもある(物理的には可能だが、底の形状と厚みにもよるのでメーカーの説明にしたがう)。電子レンジは使えない。中華鍋は底が丸いので、IHに反応しないことが多い。作家ものは作り手の説明にしたがうこと。
こんな料理に合う
鋳鉄は蓄熱性があり温度を保ちやすいので、ステーキやスペアリブなどの肉料理、揚げものに向いている。パンを温める人もいる。深めのフライパンならソースをじっくり温めながら作れる。鍛鉄の中華鍋はまずチャーハン、作家ものは最初に卵料理を作ると良さが実感できる。
本記事は『台所道具の選び方、使い方、繕い方』(グラフィック社)からの抜粋です
* * *
〈撮影/吉崎貴幸 撮影協力/モノ・モノ〉
台所道具、困ったときのお手入れバイブル
よい器や道具に対する消費者の意識が高まる昨今、長持ちさせるための手入れのハウツーが求められています。ひとり問屋として、長年あらゆる台所道具を扱ってきた日野明子さんが、プロならではの視点から道具の選び方と正しいメンテナンス術を公開。化学的知識にもとづく、目から鱗のお手入れ本です。
日野 明子(ひの あきこ)
1967年神奈川県生まれ.共立女子大学家政学部生活美術科で、故秋岡芳夫先生の講義を受ける幸運を得る。就職した松屋商事株式会社で、北欧と日本のクラフト品の営業を7年。1998年に会社が解散したことをきっかけに1999年独立。企画卸問屋「スタジオ木瓜」として、ひとり問屋を始める。生活に関わる日本の手仕事の現場を巡り、関連の展示や企画協力、産地へのアドバイス、大学での講義なども行う。著書に『うつわの手帖1(お茶)』『うつわの手帖2(ごはん)』(共にラトルズ)、『台所道具を一生ものにする手入れ術』(誠文堂新光社)ほか、雑誌やウェブマガジンへの寄稿も多数。