• 春から夏へと季節が変わっていくときは、私たちの体と心もゆらぎを感じやすいもの。日本の風土に根ざした和食薬膳と身近な発酵食品で、気になる症状を改善していきましょう。今回は、薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、春から初夏をすこやかに過ごすための食事と暮らしの知恵を伺います。
    (『天然生活』2023年6月号掲載)

    春から夏を、すこやかに過ごす養生ポイント

    気温と湿度がぐっと高まる梅雨から初夏にかけては、むくみやだるさ、食欲不振など小さな不調が起きがちです。

    暮らしと食事を見直して、体を整えていきましょう。

     胃腸を冷やさない

    高温多湿の日本は、体の中に水分がたまりがちです。とくに胃腸は湿気に弱く、梅雨から初夏にかけては、胃も過剰な湿度で冷えて消化不良や夏バテにつながります。温かい食べ物や、体を温める性質の食材をとりましょう。

     汗をしっかりかく

    梅雨時に体内の水のめぐりが滞ることを「水滞」といい、頭痛やむくみ、食欲不振などの症状が出ます。なるべく冷房に頼りすぎず、適度に体を動かして汗をかき、余分な水分を排出することで、症状も改善します。

     余分な熱は冷ます

    気温の上昇とともに、体の中に熱がこもりがちになります。暑いからと冷たい飲み物を多くとると、胃腸が冷えて不調の原因に。熱を冷ます働きのある食材を積極的に食べ、必要な栄養素を摂りながら暑さ対策をしましょう。

     水分・ミネラルを補給する

    汗をかくと、同時に体内のミネラル分も流れてしまいます。和食にはみずみずしい野菜、汁もの、白飯など水分豊富なものがそろいます。ふだんの食事で喉の渇きをいやし、栄養補給しましょう。水を飲むときは常温がおすすめ。

     薬味をとる

    にんにくやねぎ、しょうが、青じそ、にらなどの薬味には、体を温め、余分な熱と水を発散し、食あたりを防ぐ効果があります。豆腐やトマトなど体を冷やす食品を食べるときには、薬味を添えることでバランスがとれます。

     十分に休息する

    太陽とともに目覚めて活動し、夜には明かりを落としてぐっすり眠る。そんな自然に根ざした生活をおくることができれば、心も体もすこやかになっていきます。眠る前にはノンカフェインの温かいお茶を飲み、リラックスを。

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    『別冊天然生活 山田奈美さんの手仕事を楽しむ古民家暮らし』(山田奈美・著/扶桑社・刊)

    画像: 発酵と薬膳で整える「春から初夏」の体調管理。季節の変わり目をすこやかに過ごす“食養生”の知恵/薬膳、発酵料理家・山田奈美さん

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    <料理/山田奈美 撮影/有賀 傑 構成・文/河合知子>

    山田奈美(やまだ・なみ)
    「食べごと研究所」主宰。薬膳・発酵 料理家、食養研究家、国際中医薬膳師。東京薬膳研究所の武鈴子氏に師事し、薬膳理論、食養生について学ぶ。雑誌やwebなどで薬膳や発酵食のレシピを製作するほか、神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて、和薬膳教室や発酵教室などを開催。日本の食文化を継承する活動を行っている。『かんたんでおいしい砂糖なしおやつ』(小学館)、『からだが整う一汁一菜』(主婦と生活社)、『二十四節気を愉しむ季節の保存食』(マイナビ)など著書多数。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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