(『天然生活』2020年10月号掲載)
荻野さんの、無理なく続けられるパンづくり
「自家製パンがある暮らし」に憧れを抱く人は多いですが、オーブンがない、時間がかかりそうなどと、つい身構えてしまいそう。
この話を荻野さんにしたところ、「うちは朝、週の半分はパンですが、焼きたてよ。それと、とくにオーブンは使っていないんです」と、興味深い答えが返ってきました。
生地の配合は実にシンプルで、ポリ袋の中でこねて発酵させるため、キッチンは散らからず、成形も道具要らず。しかも、1つの生地を何種類もに展開させています。
「生地の分量は300gがベース。これ実は、女性の手でこねやすい分量なんですよ。生地を8個分に分けたのは、家族の1回分の消費量だから。夫、私、娘、息子のお弁当用にそれぞれ2個ずつでちょうど8個。食べきりね(笑)」
荻野さんは早起きなので、朝、粉をこね始めても間に合いますが、焼き上がりまでには1時間程度かかります。そこで、前日寝る前に粉を混ぜ、冷蔵庫に入れて長時間低温で1次発酵させています。
「すぐ焼かない場合は、この時点で分割して薄くしたものをラップで包み、冷凍するとよいですね」
たしかに、これならピザ1枚分だけでも解凍して焼けるので便利。
「続けるうちに、塩分もイーストも自然と少なめになりました。無理なく楽しくって大切ですね」
フライパンで焼ける
「基本プチパン」のつくり方
基本となるプレーンなパンです。
フライパンの中で2次発酵したら、そのまま焼くだけ。打ち粉を多めに使うと、生地が扱いやすいです。

プチパン
焼きたてには、バターなしでスープに合わせたり、ナッツやドライフルーツなどをのせて、栄養たっぷりのオープンサンドにも。
トマトジュースと牛乳を同量で合わせ、好みのオイルをたらすだけの簡単ガスパチョは、忙しい朝でもすぐにつくれます。
きざんだきゅうりやパプリカ、トマト、ゆで卵などを散らしても。パンには生ハム、プルーン、くるみをのせました。
材料(8個分・直径24cmのフライパンを使用)

● 薄力粉+強力粉 | 150g+150g (中力粉300gでもよい) |
● 砂糖 | 小さじ1 |
● ドライイースト | 小さじ1/2 |
● 塩 | 小さじ1/2 |
● ぬるま湯(30~40℃) | 1カップ |
● 植物油 | 大さじ1 |
● 打ち粉(強力粉) | 適宜 |
<料理/荻野恭子 撮影/公文美和 スタイリング/竹内万貴 取材・文/吉田佳代>
荻野恭子(おぎの・きょうこ)
料理研究家。東京生まれの江戸っ子。ロシアをはじめ、ユーラシア65カ国を訪れ、家庭料理を研究。『ビーツ、私のふだん料理』が扶桑社より復刊。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです