(『天然生活』2023年5月号掲載)
フランスで親しまれるティザンヌ

フランス語で「Tisane(ティザンヌ)」と呼ばれるハーブティーは、どんな小さなカフェでも必ずある、みんなに親しまれている飲み物です。
植物の花や葉、茎や根などの成分をお湯に抽出するティザンヌにはそれぞれに効用があり、多くの人が、それを自然に知識として身につけていることに驚きます。
胃の調子が悪かったり、なかなか寝つけなかったり、むくみが気になったり、そんなさまざまな体の不調を、ハーブがもつ自然の力を利用して改善しようとする考え方は、フランス人の生活に古くから根づいているのです。

仕事も家事も終え、ほっとひと息つく夜のティザンヌタイム。日本で買ったお気に入りのティーポットやカップに心もいやされる
温かいティザンヌがくれる、植物の秘めたるパワー
イザベルさんも、ティザンヌの効能をよく理解して、日常的に楽しんでいるひとり。
「ノンカフェインなので、時間を気にせず飲めるのがうれしいです。私は寝る前に、ミントやタイムのティザンヌをよく飲みます。
たいていは乾燥ハーブを使いますが、夏に庭でハーブがたくさん採れたときはフレッシュハーブで淹れることもあります。
症状に合わせてティザンヌを処方してくれる「薬草専門店(エルボリストリ)」にもよく足を運びますよ。長い歴史があって、美しい佇まいのお店が多いので大好きです」

乾燥ペパーミントにお湯を注いで淹れたティザンヌに、フレッシュなミントの葉を浮かべれば、部屋中がさわやかな香りに包まれる

数種類のティザンヌを常備。パリやモンペリエのエルボリストリで買ったもののほか、庭のミントを乾燥させた自家製ティザンヌも
次回は、イザベルさんの好きなハーブたちをご紹介します。どうぞお楽しみに!
〈撮影・イラスト/イザベル・ボワノ 取材・文/トリコロル・パリ(荻野雅代、桜井道子) 構成/鈴木麻子〉

イザベル・ボワノ(いざべる・ぼわの)
フランス・アングレーム在住のイラストレーター。雑誌の連載や本の執筆、雑貨のイラストなど幅広く活躍中。著書にNHK Eテレの人気番組を書籍化した『パリジェンヌの田舎暮らし』(パイ インターナショナル)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです