(『天然生活』2024年6月号掲載)
町家をオープンにしてご縁をつなぐ場に
▼前回までのお話はこちらから▼
京都・堀川丸太町にある町家。
看護師から転身し、「円卓」として食の仕事を始めた庄本彩美さん。京都の町家を自らリノベーションし、アトリエ兼住まいに。100人分のお弁当や保存食の製造を手がけながら、地域とのつながりを大切に活動しています。
町家との出合いも人とのご縁から。
「物件を探している」と口にしていたら、町家を活動拠点にする知人が、「向かいの物件が空いたよ」と教えてくれたそうです。

町家が残る通りにあり、裏手には町内のご神木も。庄本さんが料理を学んだ森田久美さんの夫で建築家の徹さんがリノベーション
「暮らしを大事に、日常の延長線で働きたくて。町家なら地域とつながりながら、職住一体の暮らしができると思ったんです。食を通して、季節の移り変わりや人とのご縁を届けていきたいですね」

薄暗かった町家を明るく、風通しよく、暮らしやすい環境に
キッチンは飲食業・菓子製造・総菜製造許可を取得。できることもぐんと広がりました。
「自分のためだけの場所ではなく、いろんな人に使ってもらいたくて。お世話になった方や同じようにがんばる仲間......いろんなジャンルの人と一緒にイベントやワークショップもしています。夢をかなえたいまは、魅力を感じる人の応援がしたくなりました」

職住を分ける階段スペース。奥にも玄関をつくって、来客中でも気兼ねなく家族が出入りできるように
子育てが始まるなかで、子どもと一緒に参加できるイベントも考えるようになりました。

以前も町家住まいだった庄本さん。台所は手狭で、薄暗く寒いのも難点だったから、リノベーションで心地よい空間に
「子育て中は孤独になることもあるからお母さんに気兼ねなく来てもらえる場がつくりたい。近所の方は『男の子? 女の子?』って赤ちゃんを楽しみにしてくださって、地域ともこれまで以上につながれる気がする。アトリエを生かして、人をつなぐコミュニティをつくっていきたいですね」
<撮影/石川奈都子 取材・文/宮下亜紀>
庄本彩美(しょうもと・あやみ)
京都・堀川丸太町にアトリエを構え、「円卓」として活動。看護師から食の道へ転身。現在、出産を控え、お弁当やケータリングは休業中。保存食づくりはマイペースで続け、オンラインショップや京都の器店「若葉屋」などで取り扱い。アトリエはイベント開催時にオープン、スケジュールはインスタグラム@entaku_ayamii
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです