（『天然生活』2024年5月号掲載）
幸せな人生に欠かせない「自己肯定感」
自己肯定感とは、ありのままの自分を受け入れること。
悪い面も含めて自分を好きになる、自分が自分であっても大丈夫という感覚で、幸せな人生を歩むうえで重要なことが、心理学の研究でわかっています。
そんな、自己肯定感を高めてくれる、朝のセルフケアの方法を、桜美林大学教授で臨床発達心理士の山口 創先生に教えていただきました。
＊ ＊ ＊
▼自己肯定感を高める「朝のセルフケア」とは？ 最初のお話はこちら
起きたらすぐに行う「朝のセルフケア」
副交感神経と交感神経が入れ替わるタイミングで、 心身を目覚めさせながら前向きになれる方法を紹介します。
１．額を軽くたたく
皮膚に一定のリズムで心地よい刺激を与えることで、オキシトシンだけでなく、幸せホルモンの神経伝達物質、セロトニンが分泌。
イライラやストレス、不安を和らげてくれます。
1秒に4回程度の速いテンポでたたくと、覚醒水準が上がり、スッキリとした気分に。
朝からシャキっと前向きな自分になれます。
１ リラックスした状態で座り、目を閉じて、手の5本の指を額に置く。
２ 5本の指先を少し曲げ、1秒ごとに約4回、額を軽くたたく。10秒ほど続ける。
２．簡単なストレッチをする
寝ている間にこり固まった筋肉をほぐしましょう。
筋肉が伸びて血流がよくなり、代謝が上がるだけでなく、不安やストレスが軽減。
リラックスするという心理的効果も期待できます。
自分が気持ちいいと思えればどんなストレッチでもOKですが、いつもよりストレスを感じているときは、肩や首まわりを重点的にほぐして。
１ リラックスした状態で座り、左腕の内側で右腕のひじをゆっくり抱え込む。
２ 右肩の後ろの伸びを感じながら、約10秒、この姿勢をキープする。
３ 反対も同様に行う。数回繰り返しても。
３．太陽に向かって胸を張る
上を向いて胸を張るポーズをとると、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が減り、前向きでやる気がアップするホルモン、テストステロンの分泌が増加します。
太陽のエネルギーを全身で受け取るイメージで両腕を広げ、自分を大きく見せましょう。
何かにチャレンジしようとする前向きな気持ちが育まれます。
１ 肩幅に足を広げて立ち、息を吐きながら体の緊張を手放す。膝や股関節も楽にする。
２ 両手を腰に置き、胸を張り、軽く上を向いて、数回深呼吸をする。
３ 両腕を上げて、大きく広げる。胸をさらに広げて、呼吸が胸いっぱいに、指先にまで広がるイメージで。
４ 太陽の光を全身に浴びているイメージをもち、光が深い呼吸とともに全身に広がっていくのを感じる。
４．足の動きに集中して歩く
ウォーキング・メディテーション（歩く瞑想）と呼ばれるマインドフルネスのひとつ。
足の動きに意識を集中することで、心を「いま・この瞬間」に置きつづけることができるようになります。
朝起きてすぐ、寝室からトイレやキッチンに行くまでのあいだにやるのがおすすめです。
最初は1分くらい、慣れたら長くしていきます。
１ 手を後ろで組んで立つ。
２ 心と体の「いまの状態」を観察する。片方の足の裏に意識を集中し、その感覚を観察する。
３ 「左足を上げる」「空中で前に進める」「地面に下ろす」と、動きを実況中継するように心の中で唱える。慣れてきたらさらに細かく動作を分けて（「左足を上げる」「前に進める」「地面に下ろす」「床に足裏がつく」「体重をかける」など）、それぞれの動作を観察する。
次回は「身支度をしながら行う、朝のセルフケア」をご紹介します。どうぞお楽しみに！
＊ ＊ ＊
▼「自己肯定感を高める、朝のセルフケア」記事一覧
〈監修／山口 創 イラスト／ヤマグチカヨ 取材・文／堺 あゆみ〉
山口 創（やまぐち・はじめ）
桜美林大学教授。臨床発達心理士。健康心理学、身体心理学を専攻とし、人と人が触れ合うことによって分泌される幸せホルモン・オキシトシンと皮膚の関係を探究。皮膚・触れることをテーマに、子育て、介護、看護など、さまざまな人を対象に研究や講演活動を行う。著書多数。近著に『最良の身体を取り戻す』（さくら舎）がある。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
