(『天然生活』2024年5月号掲載)
幸せな人生を歩むのに大切な「自己肯定感」とは?
自己肯定感とは、ありのままの自分を受け入れること。
悪い面も含めて自分を好きになる、自分が自分であっても大丈夫という感覚で、幸せな人生を歩むうえで重要なことが、心理学の研究でわかっています。
しかし、自己肯定感の低さが原因でネガティブな感情にとらわれる人も。
自己肯定感を高めることはできるのでしょうか。

自己肯定感を高める鍵は、幸せホルモン「オキシトシン」
「自分にやさしく触れるセルフケアの時間を増やしたり、五感を刺激したりすれば高められます」とは、臨床発達心理士でタッチケア研究の第一人者である山口創先生。
鍵となるのが、幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」だそう。
「オキシトシンが脳でつくられると幸福感が高まり、副交感神経が優位に働いてリラックスするため、ストレスは軽減されます。
すると心が安定して満たされるので、自分を受け入れやすくなるんです」
自分がもっといとおしく、大切に思えるように
そんなオキシトシンは、肌に触れることで多く分泌されます。
「体の調子が悪いときに背中をさすってもらうと安心しますよね。それは温かい手で触れられることでオキシトシンが分泌されるから。
それを自分自身にやってもオキシトシンが分泌されることが、新たな研究でわかってきました」

また、オキシトシンは甘い物や心地よい音楽など、五感への快適な刺激によっても分泌されるそう。
「その際、感覚に意識を集中させると、心を“いま”に置きつづけられるようになります。
現実をあるがままに受け入れる、マインドフルネスを育む訓練と同じですね」
気持ちを急に変えることは難しいけれど、触れて、温かさを感じるセルフケアなら、気軽に始められそうです。
「ご紹介するセルフケアは、どれかひとつを1分やるだけで効果はあります。続けるうちに自分をいとおしく、大切に思えてきますよ」
自己肯定感チェックリスト
自分にはよいところがある
いまの自分が好き
人には好かれるほうだ
自分らしさをもっている
自分にはだれにも負けないもの(こと)がある
あてはまるものが3つ以下なら、自己肯定感が低い可能性があります。
ぜひ次回以降の記事でご紹介する「自己肯定感を高める、朝のセルフケア」を行ってみてくださいね。
次回は「布団の中で行う、朝のセルフケア」をご紹介します。どうぞお楽しみに!
〈監修/山口 創 イラスト/ヤマグチカヨ 取材・文/堺 あゆみ〉
山口 創(やまぐち・はじめ)
桜美林大学教授。臨床発達心理士。健康心理学、身体心理学を専攻とし、人と人が触れ合うことによって分泌される幸せホルモン・オキシトシンと皮膚の関係を探究。皮膚・触れることをテーマに、子育て、介護、看護など、さまざまな人を対象に研究や講演活動を行う。著書多数。近著に『最良の身体を取り戻す』(さくら舎)がある。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです