(『天然生活』2024年5月号掲載)
朝のちょっとした時間を利用して「自己肯定感」をアップ!
自己肯定感とは、ありのままの自分を受け入れること。
悪い面も含めて自分を好きになる、自分が自分であっても大丈夫という感覚で、幸せな人生を歩むうえで重要なことが、心理学の研究でわかっています。
そんな、自己肯定感を高めてくれる、朝のセルフケアの方法を、桜美林大学教授で臨床発達心理士の山口 創先生に教えていただきました。
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▼自己肯定感を高める「朝のセルフケア」とは? 最初のお話はこちら
身だしなみの支度をしながら行う「朝のセルフケア」
毎朝していることの延長線上で、「ていねいに」セルフケアを。
その積み重ねが自分を大切にし、受け入れることにつながります。
1.鏡を見て笑う

朝、顔を洗ったり歯磨きをしたりするときに、鏡に向かって口角を上げ、にーっと笑ってみましょう。
表情は心に影響を与えます。
楽しくなくても笑顔をつくるだけで、神経伝達物質のエンドルフィンが脳から分泌。
多幸感をもたらし免疫力も上げてくれます。
眉間にシワが寄りがちな人は、指で横に伸ばすようにしてください。
1 正面を向いて口角を上げ、にっこりと笑う。3回ほど繰り返す。
2.手でほほを包んで押す

顔は全身の皮膚のなかでもとくに敏感で、その刺激は心に大きな影響を及ぼします。
朝に手でほほを押さえつけると、交感神経のスイッチが入り覚醒水準がアップ。
すっきりして活力がわいてきます。
シワの原因になることもあるので、動かさずに「押す」ことを徹底して。
クリームは塗っても塗らなくても、どちらでも大丈夫です。
1 両ほほを包み込むように手のひらを当てる。
2 30秒〜1分ほど、両手で軽くほほを押す。心地よい強さで圧をかけ、余計なことは考えずに、ゆっくりと呼吸をしながら顔の感覚を感じて。
*手が冷たいときは、手を温めてから押す。
3.自分を思いやりながらクリームを塗る

肌に触れる感覚に集中しながら、自分自身をいたわる気持ちでやさしく塗りましょう。
単に「保湿のため」という意識で塗るよりも、副交感神経が優位になり、心拍がゆっくりになることが実験で証明されています。
自分に思いやりの言葉をかけながら塗ると、相乗効果でよりリラックス。
自分を好きになることにつながります。
1 手のひらに化粧水や乳液、クリームをとる。
2 手のひら全体を顔や腕に密着させながら、ゆっくりと手を動かして塗る。
3 肌に触れる気持ちよさに意識を集中して、「今日も起きてえらい」「失敗はだれにでもあるさ」など、自分に声がけをしながら塗る。
4.五感を研ぎ澄ませて化粧をする

気分を上げたり、安心感が増したり。
メイクアップの心理的効果はよく知られていますが、メイクをするとき、感覚に意識を向けて心地よさを味わうと、より自己肯定感を高めることにつながります。
ふわふわのパフの触感、口紅の華やかな香り……。
五感を研ぎ澄ませながら気持ちよさを十分に受け取る。その態度が大切です。
1 スポンジやパフ、ブラシが肌に触れる心地よさや、香りに意識を向けながらメイクをする。
次回は「朝食や朝食後に行う、朝のセルフケア」をご紹介します。どうぞお楽しみに!
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▼「自己肯定感を高める、朝のセルフケア」記事一覧
〈監修/山口 創 イラスト/ヤマグチカヨ 取材・文/堺 あゆみ〉
山口 創(やまぐち・はじめ)
桜美林大学教授。臨床発達心理士。健康心理学、身体心理学を専攻とし、人と人が触れ合うことによって分泌される幸せホルモン・オキシトシンと皮膚の関係を探究。皮膚・触れることをテーマに、子育て、介護、看護など、さまざまな人を対象に研究や講演活動を行う。著書多数。近著に『最良の身体を取り戻す』(さくら舎)がある。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです