(『天然生活』2024年7月号掲載)
場所や用途を変えながら、経年変化も楽しんで
キッチンではカトラリーや調味料の仕分けに、寝室の脱いだ衣類をちょっと置いておく場所に、パントリーの一角では根菜の保存に。刀根弥生さんの自宅のあちらこちらに、かごがあります。
「日々のごちゃっとしがちなものも、かごに入れるだけで整って見える気がします。さらに、床に直接触れないから清潔で、自然素材ならではの質感のやさしさが。当たりがやわらかいのも好きです」
多くの器を扱う刀根さんならではの視点です。それらのかごは、作家ものもあれば、どこで購入したか覚えていないほど前から使っているものだったり、和の雰囲気のものが多いけれど、なかには東南アジアやアフリカ、北欧のものだったりと多岐にわたります。
「かごという共通事項があるだけで自然となじむ気がします。収納用に探し求めたものもありますが、以前はかごバッグとして使っていたものを現在は収納にしているものもあります。そのときの気分や生活の変化に合わせて場所や使い方を流動的に変えられる柔軟さも、かごならでは。使うほどに経年変化を感じられるのもいいですね」
刀根さんの「かご使い」5つのアイデア
刀根さんの「かご使い」1
【リビング】かごなら当たりもやさしく、軽いから持ち運びやすい

ダイニングにある古い引き出しに豆皿やカトラリーを入れたかごを収納。かごごと食卓へ運ぶことも。
「プラスチック製のほうがサイズは豊富ですが、自然素材のものがよくて少しずつ集めました。カトラリーの当たりがやさしいところも気に入っています」
引き出しの上に置いたざるには赤とうがらしと金柑を干して。
「乾燥したら自家製の七味とうがらしをつくる予定」
刀根さんの「かご使い」2
【パントリー】大きさ・形の異なるかごも、組み合わせると一体感が

食器がずらりと並ぶパントリー的なスペースは、風通しがよいため、根菜の保存場所にもぴったり。脚付きのかごには、さつまいもやじゃがいも、にんじんなどを入れて。市場かごには米や空き瓶、乾物や保存食を。
「ふた付きのかごには、ポリ袋を入れて。ぐちゃぐちゃになりがちなものも、お気に入りの入れ物だと整理や片づけのスイッチが入りやすい気がします」

〈撮影/近藤沙菜 取材・文/結城 歩〉
刀根弥生(とね・やよい)
東京・表参道にある「うつわ楓」で働いたのち、東京・神宮前にある器店「shizen」の店主となる。つくり手に寄り添いつつ独自の審美眼で選んだ器が並ぶ。月に2~3度、展示会も行う。
http://utsuwa-shizen.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです