これからの暮らしを描く、家づくりのこと
「家は3回つくらないと納得のいくものはできない」とよく聞きますが、できあがった北海道の家を見たとき、心から好きな場所ができた、と思いました。自分は運がいいなぁ…とも。
東京で住んでいた団地は、最初にされていたリノベーションが気に入ってほとんどそのまま住んだので、自分の家をつくるのはじめてのことでした。

北海道の家の工事は、長沼で活動されている大工さん、yomogiyaの中村さんにお願いすると決めていました。信頼する友人からの推薦と、またもとの家主と一緒に仕事をされている間柄でもあり、建物の背景への理解がいちばんある方だと思ったからです。
ろくに比較検討もせずお願いしたのですが、中村さんはこのほうがよいと思ったら率直に伝えてくれて、またわたしの意見がよいと思えばすかさず取り入れて、さらによくしてくれました。
それは当たり前なようで、難しいことのような気がします。大きなことだけじゃなくて、冷蔵庫はどこに置くか、小さな棚をどうつけるか、そんなこともひとつひとつ一緒に考えてくださって、本当にありがたかった。

いつも本当に楽しそうに現場で働く、yomogiyaの中村さん
家づくりって、今だけでなく、これから送りたい生活や未来図を描いていくことなのだと思います。
最初はあいまいだったその図が、家という形に具体化していくなかで、だんだん解像度が上がっていく。
「こんな暮らしがしたかった」という心からの願いが浮き上がってくるとき、いい家づくりになったといえるんじゃないか、そう思います。

撮影/伊藤徹也
藤原 奈緒(ふじわら・なお)
料理家、エッセイスト。“料理は自分の手で自分を幸せにできるツール”という考えのもと、商品開発やディレクション、レシピ提案、教室などを手がける。「あたらしい日常料理 ふじわら」主宰。考案したびん詰め調味料が話題となり、さまざまな媒体で紹介される。共著に「機嫌よくいられる台所」(家の光協会)がある。
インスタグラム:@nichijyoryori_fujiwara
webサイト:https://nichijyoryori.com/
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