ごみを出さずにおいしく食べきる、南極の食の知恵
南極の昭和基地で調理の経験をした渡貫淳子さん。現地でよくつくっていて、帰国後にSNSなどで話題となった“悪魔のおにぎり”の考案者としても知られています。
現地到着後に食材を追加調達できず、ごみを捨てられない中で、「あるものをいかに大切に使いきるか」を考えたという渡貫さん。
1年間の南極生活で、フードロスを自分ごととして考えられるようになったそう。
帰国後は日常生活を見直し、残っている食材から献立を考えたり、残ったおかずをリメイクしたり……。そうしていく中で、ごみを減らせたこと、リメイクした料理がおいしくできたことに“小さな喜び”を感じるように。
「知ることで意識が生まれます。『もったいないけど捨てる』ではなくて、『最後まで使いきる!』『使いきれた自分はすごい!』。そんなふうに思ってほしいな、と願っております」

〈撮影/キッチンミノル スタイリング/阿部まゆこ〉
※本記事は『私たちの暮らしに生かせる 南極レシピ』(家の光協会)からの抜粋です。
◆どんな食材もおいしく食べきる!私たちの暮らしに生かせる南極レシピ◆
追加の食材調達は一切なし。ごみを一切捨てられない。
そうした南極ならではのルールのなかで生活するうち、ごみを出さずにおいしく食べきる工夫が身についたという渡貫さん。
フードロスなどが話題になることが多い現代で取り入れたい、毎日のごはんづくりに役立つ南極レシピを紹介します。
【目次】
● 第一章 毎日のごはん作りに役立つ南極レシピ
● 第二章 本当においしい冷凍野菜のレシピ
● 第三章 缶詰と乾物のアイディアレシピ
● 第四章 捨てられがちな食材の活用レシピ
● コラム
・生野菜のおいしい冷凍法
・残りがちな調味料の活用法
・おからをもっと食べよう
・毎日のメニュー、どう考えていますか?
・南極ごはんQ&A など
渡貫淳子(わたぬき・じゅんこ)

第57次南極地域観測隊の調理隊員。1973年青森県八戸市生まれ。「エコール 辻 東京」を卒業後、同校に就職。結婚後、出産を機に退職するも、その後も家事・育児をこなしながら調理の仕事を続ける。30代後半に南極地域観測隊の調理隊員への夢を抱き、3度目のチャレンジで合格。昭和基地史上2人目の女性調理隊員(民間人では初)。南極でよくつくっていた「悪魔のおにぎり」をモデルに、某コンビニチェーンが商品化したことでも注目される。現在は南極での経験を元に、フードロスや環境問題、防災、男女共同参画などをテーマにした講演活動を行う。