昭和基地の毎週金曜日のごはん
残りものカレーのつくり方
昭和基地では、毎週金曜日のごはんはカレーと決まっています。
ずっと以前から続いているしきたりのようなもの。
ただし、南極のカレーにはちょっとした秘密があります。それは、1週間の間に少しずつ残った煮汁などの液体、余ったおかずなどを溜めておいて、一気に入れるのです。

日本のルーカレーは懐が広くて、どんな食材も受け入れてくれる
材料(4~5人分)
● 玉ねぎ | 1個(200g) |
● じゃがいも | 大1個(150g) |
● にんじん | 1/2本(100g) |
● 植物油 | 大さじ1 |
● カレールー | 1/2箱(80g) |
● コンビーフ | 1缶(80g) |
● 残りもの | 1カップ程度 |
すべてカレーが受け止める!
南極では、調理中に出た肉の焼き汁、煮ものの残った煮汁、ゆで汁、ラーメンのスープ、少しだけ残ったコーヒーやみそ汁、福神漬けの漬け汁、水煮缶の汁などは、その都度ポット缶につぎ足し、冷蔵して溜めていました。
液体だけではなく、牛丼の具、さばのみそ煮、筑前煮、焼き魚の残りなども。焼き餃子は刻んで入れれば跡形もなくなじみます。
つくり方
1 玉ねぎ、じゃがいも、にんじんは一口大に切りそろえる。
2 煮込み用の鍋に植物油を熱し、1を入れて炒める。全体に油が回って、野菜の角が透き通ってきたら水600mLを加え、野菜に火が通るまで弱めの中火で煮込む。
3 いったん火を止めてカレールーを割り入れ、コンビーフや残りものも加える。ルーを混ぜて溶かし、さらに10分ほど煮る。
〈撮影/キッチンミノル スタイリング/阿部まゆこ〉
※本記事は『私たちの暮らしに生かせる 南極レシピ』(家の光協会)からの抜粋です。
◆どんな食材もおいしく食べきる!私たちの暮らしに生かせる南極レシピ◆
追加の食材調達は一切なし。ごみを一切捨てられない。
そうした南極ならではのルールのなかで生活するうち、ごみを出さずにおいしく食べきる工夫が身についたという渡貫さん。
フードロスなどが話題になることが多い現代で取り入れたい、毎日のごはんづくりに役立つ南極レシピを紹介します。
【目次】
● 第一章 毎日のごはん作りに役立つ南極レシピ
● 第二章 本当においしい冷凍野菜のレシピ
● 第三章 缶詰と乾物のアイディアレシピ
● 第四章 捨てられがちな食材の活用レシピ
● コラム
・生野菜のおいしい冷凍法
・残りがちな調味料の活用法
・おからをもっと食べよう
・毎日のメニュー、どう考えていますか?
・南極ごはんQ&A など
渡貫淳子(わたぬき・じゅんこ)

第57次南極地域観測隊の調理隊員。1973年青森県八戸市生まれ。「エコール 辻 東京」を卒業後、同校に就職。結婚後、出産を機に退職するも、その後も家事・育児をこなしながら調理の仕事を続ける。30代後半に南極地域観測隊の調理隊員への夢を抱き、3度目のチャレンジで合格。昭和基地史上2人目の女性調理隊員(民間人では初)。南極でよくつくっていた「悪魔のおにぎり」をモデルに、某コンビニチェーンが商品化したことでも注目される。現在は南極での経験を元に、フードロスや環境問題、防災、男女共同参画などをテーマにした講演活動を行う。