2023年95歳で笹餅づくりを引退した、青森の笹餅名人・桑田ミサオさん。現在98歳のミサオさんの笹餅人生の転機は、60歳。その年に笹餅をつくり始め、75歳で起業しました。「自分の力でどれくらいできるかやってみよう」と挑み、気づけば90歳を超えていました。青く香り高く、時間がたっても柔らかさが続く笹餅は、5年の試行錯誤の末に完成したもの。週2日の製造以外は笹採りやあんづくりに励み、利益はわずかでも「人が喜ぶことが生きがい」と続けてきました。
(『天然生活』2025年4月号掲載)
(『天然生活』2025年4月号掲載)
ミサオさんの「笹餅」ができるまで
1 材料(餅粉、砂糖、こしあん、塩)を全部、ボウルの中へ

2 手をこすり合わせるようにして全体を混ぜ、ざるを使ってこす

3 水を加え、手で練っていく

4 生地を1時間寝かした後。なめらかでとろとろの状態に

5 強火で約1時間蒸す。木製の菜箸を使い、餅に火が通ったかを判断する

6 熱いうちに皿に移し、餅をちぎっていく

7 笹のつけ根に餅をのせ、三角になるように折って包む

8 笹に包んだ餅を蒸し器に並べ入れ、約1分蒸す。笹の風味がほのかに餅につく

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<撮影/衛藤キヨコ 構成・文/水野恵美子>
桑田ミサオ(くわた・みさお)
1927年青森県・津軽生まれ。保育園の用務員を退職後、60歳から農協の無人販売所で販売する笹餅をつくり始める。山に分け入って笹の葉を採り、材料のこしあんから全て手づくりする笹餅は、またたくまにおいしいと評判となり、75歳で本格的に起業。79歳で津軽鉄道「ストーブ列車」に乗りながら、車内販売を始めると、「ミサオばあちゃんの笹餅」として注目を集める。2020年には、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に、「たった一人で年間5万個の笹餅を作り続ける職人」として取り上げられる。平成22年度農山漁村女性・シニア活動表彰 農林水産大臣賞受賞。令和3年春の勲章 旭日単光章受賞。95歳で笹餅づくりを引退する。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです