(『天然生活』2024年9月号掲載)
家族と分かち合う暮らしの実感

庭が望めるテラスにもチェアを配し、憩いのスペースに
居相家がかなえた、おおらかな自然とともにある毎日。
それはまた、ひとつずつ手間をかけてはじめて成り立つ暮らしでもあります。
「お風呂ひとつとっても、鉄釜の手入れが要るし、薪で沸かすには時間もかかります」と大輝さん。

薪でお風呂を沸かす大輝さん。森を整える一環で自ら倒木した木を薪に利用している
「でも、それが楽しい。
きっと、それだけをやっていたらしんどいのかもしれませんが、お風呂が沸くまでに1時間かかるなら、その間にごはんをつくればいい。
すべては生活の流れのなかにあるから苦にはならないのかもしれません」
手数が多い生活、手入れが大変な家だからこそ、生活しているという実感をかみしめているふたり。
「生きてる、うれしいという感情が、そこからわき出てくるんです」

漆喰の白壁に古建具を合わせるなど、美意識が息づくリビング。「建具に合わせて窓枠をつくってもらいました。棟梁は大変だったと思います」

愛さんが用意してくれたランチプレート。庭のディルやルッコラなどのハーブ、季節の野菜がたっぷり。豊かな香りも味わいに
〈撮影/辻本しんこ 取材・文/山形恭子〉
居相大輝(いあい・たいき)
1991年生まれ、京都府福知山市で育つ。幼いころから服への興味があり、10代でミシンを購入。独学で服づくりを学び、2015年にファッションブランド「iai」を立ち上げる。暮らしの身のまわりにある草木根皮での染色、風土や土地の風景が生きる手仕事の衣服を日々制作。2023年12月より兵庫県朝来市へ移住。妻の愛さんとふたりの娘と暮らす。
インスタグラム:@_____i_a_i/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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