(『天然生活』2024年9月号掲載)
愛用道具と使い方3
焼き網でのりを焼く

焼く前ののり、乾のりをあぶるのも宮本さんの好きなひとり遊びのひとつ
「焼き網は、大人の遊び場だと思ってるんです」と宮本さん。油揚げや野菜、乾のりなどを網にのせて焼けば、じゅうじゅう、パチパチという音やおいしそうな焼き色、そして香りに夢中になります。
「辻和金網」の手付き焼き網は「ステンレス製なのでとても丈夫。受け網が水や油分を受け止めるのでコンロが汚れないのもうれしいです」

職人が編み上げる焼き網。「じゅうじゅうという音にほのぼのします」

熱いうちにタワシで洗うだけ。「焼き網部分が開くので楽に洗えます」

手付焼網(受け付) 22.5×22.5cm/辻和金網
愛用道具と使い方4
土瓶でだしをとる

完成しただしに塩、しょうゆ、みりんを加えて味を整え、おぼろ昆布を入れた椀に注げばすまし汁の完成

「三つ葉などを入れてもいいし、夏は梅干しを加えてもおいしい」
「土の遠赤外線効果のおかげで、土瓶で沸かした湯はとてもまろやか。お茶を煮出しても、コクが出ておいしくなります」
もうひとつ、宮本さんがよくしているのがだしをとること。
「昆布と干ししいたけ、かつおぶしなどを弱火でじっくり煮出すと、濃くておいしいだしがとれるんです」
みそ汁やすまし汁をぐっとおいしくしてくれます。

土瓶 直径18×高さ25cm 容量1.2L/陶房窯八 大橋睦
愛用道具と使い方5
卵焼き器でだし巻きをつくる

銅製の卵焼き器は熱伝導がよく、卵に素早く、ムラなく火が通るため、熱が入りすぎて固くなるといったことが起きず、だし巻きもふわふわの仕上がりになる
長年ベジタリアンで、卵も食べていなかった宮本さん。再び卵を食べるようになったとき、ふわふわのだし巻きをつくりたいと思って手に入れたのがこの卵焼き器です。
「持ち手の角度も絶妙で持ちやすいし、本当にふわふわに仕上がります。だし巻きをつくるときは少し緊張するけれど、仕上がりを想像しながらつくるのが楽しい」

洗ったあとは軽く火にかけ水気を飛ばす。使い込むほどに油がなじむ

最後に巻き簀で形を整えれば、美しいだし巻きのでき上がり

銅製卵焼きフライパン長角S 長さ15×奥行き11.5×持ち手含む全長31cm/テノールワークス
〈撮影/柳原久子 取材・文/嶌 陽子〉
宮本しばに(みやもと・しばに)
長野県在住。長年、日本の台所道具と料理をテーマに「素描料理」という独自の料理法を追求する。現在は料理の仕事から離れ、テディベア制作のワークショップなど、手仕事の活動にいそしむ。著書に『台所にこの道具』『野菜たっぷり すり鉢料理』(ともにアノニマ・スタジオ)など多数。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです