(『天然生活』2024年11月号掲載)
もっと気軽に、花を暮らしに取り入れて
「せっかく花を飾るのなら」と、私たちはつい、考えてしまいます。まずは、ふさわしい場所を決めてから。より美しく見えるよう、周りをきれいに片づけてから。あるいは、花器を用意してから。
「それも素敵な心がけですが、もっと気軽に暮らしのなかに取り入れてほしいのです。たとえどんなふうに生けられたとしても、花はそこにあるだけで、美しいものですから」と平井かずみさん。
「日々生活していれば、ときには空間が雑然とすることもあるでしょう。そこで花を飾ることを諦めるのではなく、むしろ前向きに頼ってほしいのです。言い換えれば、花を飾ることでこそ、“きれいが生まれる”のですから」
花を飾れば、そこに自然が生まれると平井さんは話します。その存在があるだけで、たとえ近くに窓がなくても、吹き抜ける風を感じ、温かな陽の光が見えます。
「飾る場所は、あなたがよく向ける視線の先。花自身の喜びは、何よりも私たちに見つめられること。美しい花を視界に認めてあなたの心が安らぐとき、花もまた、喜びに満ちているのです」
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▼「“きれいが生まれる”花しつらい」そのほかのお話はこちら
玄関に

人が出入りし、小さなやり取りが繰り返される場所。
ここにしつらえたいのは、空気を清浄にする効果が高いとされる、ハーブを中心にした壁飾り。
さわやかに香るレモンユーカリ、フルーティーな芳香を放つマートル、さらに抗菌効果のあるティーツリーなどを輪ゴムで束ね、リボンでラフに結んで。
清涼な香りから自然と穏やかな会話が生まれ、ドアを開けるたびに新たな風を呼び込みます。
花材
レモンユーカリ、マートル(ギンバイカ)、ロシアンオリーブ(ヤナギバグミ)、ティーツリー、アカシア
材料
3cm幅のコットンリボン
〈スタイリング/平井かずみ 撮影/有賀 傑 取材・文/福山雅美〉
平井かずみ(ひらい・かずみ)
フラワースタイリスト。2022年から新たな出会いの場としてオープンした、東京・恵比寿のアトリエ「皓 SIROI」を拠点に活動。花の教室「皓 花会」を開催するほか、全国でワークショップを開催。草花がもっと身近に感じられるような「日常花」を提案する。
https://www.hiraikazumi.com/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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