(『天然生活』2024年11月号掲載)
子どもたちの笑顔をまんなかに。「くらら庵」でつながる地域の輪
京都・西陣での町家暮らしも17年目という美濃羽まゆみさん。
4年前、自宅からほど近い場所に、不登校の子どもたちの居場所「くらら庵」を有志で立ち上げ、現在もこども食堂やフードパントリー、おでかけボランティアなど、運営者のひとりとして積極的に関わっています。

学生時代からの友人、朝倉美保さんらと立ち上げた子どもの居場所「くらら庵」にて
地域で培ったつながる力は、新たな活動の原動力にもなっているようです。
新しい暮らしの形
こども食堂を開き、いまできることを
京都・円町に立ち上げた子どもたちの居場所「くらら庵」で、月1回開催しているこども食堂。
利用者の子どもたちが調理ボランティアとして参加する試みでもあり、スタッフとともに毎回さまざまな献立で50食をつくっています。

鶏もも肉となすのトマト煮込み、キャベツのカレー炒めなどが彩るメニュー。子ども100円、高校生以上300円
美濃羽さんはメニュー決めや調理を担当。コロナ禍により、現在は持ち帰れるお弁当スタイルで提供中。
「朝9時からみんなでわいわい。来てくれた方に喜んでもらおうと、子どもたちも毎回はりきっています」

地域の八百屋さんにB品の野菜を安価で譲ってもらうなど、フードロスを減らす試みにもつながっている
新しい暮らしの形
フードパントリーで物を循環させて
「くらら庵」を運営するNPO法人「Reframe」の活動として、不定期にフードパントリーを実施。

調味料やお菓子が並ぶフードパントリー。食品だけでなく、日用品などそのときどきで品物は変わる
イベントやこども食堂の開催日など人の集まる日に合わせ、企業や有志から集まった食品などを玄関先に並べて無料で提供しているそう。

「見えるように表に並べて、くらら庵の利用者さんやご近所さんに持ち帰ってもらっています」
「運営の寄付を募ると物品で頂くことも多いので、ストックできたら開催しています」
つながりを楽しむための小さな工夫
地元で洋裁の教室を開いて

洋裁作家の美濃羽さんは、数年前から地元でも教室を開いているそう。
「その場だけでなく、日常にご縁が広がるのがうれしくて」
はぎれをむだなく活用した、布小物教室も開催。
いただきものはご近所にシェア

たくさん届いた野菜や果物は、新鮮なうちにおすそわけ。
「りんごやデコポン、菜の花など、旬のものを箱いっぱい頂いたときなどは、ご近所さんにおすそわけしています」
手づくりのおせちをお届け

ひとり暮らしの方に、手づくりしたおせち料理を箱詰めして届けたことも。
「とても喜んでいただいて。でも逆に、そのあと、こちらがお菓子などを頂いちゃいました」
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<撮影/原 祥子 取材・文/山形恭子 構成/鈴木理恵>
美濃羽まゆみ(みのわ・まゆみ)
洋裁作家、手づくり暮らし研究家。家族とともに京町家で暮らす。2008年より手がける洋服ブランド「FU-KO basics.」の受注会を開催するほか、子どもの居場所「くらら庵」での活動など多方面で活躍。『美濃羽まゆみさんの手づくりのある暮らし』(扶桑社)、『みんなで着たい、手づくり服』(日本ヴォーグ社)など著書多数。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです