“見える収納”で、好きな服を見逃さない
古い一軒家をアトリエと住まいにしている井上さん。1階の2部屋を仕事場と食事スペースに、2階の1部屋をくつろげる居住スペースとして使っています。
今回は、「あまり人に見せることがない」という2階の暮らしのスペースを特別に見せていただきました。

とくに目に引くのは、壁一面に渡る大きなラック。もともとは畳だった和室を、DIYが得意な近所の友人の力を借りて、開放的なクローゼットルームに仕立てました。
押入れの襖は取り外し、ほとんどの洋服を吊るして収納できる仕様に。アウターやワンピース、シャツなどは用途別・色別にゆるやかに並べられ、ひと目でどんな服があるのか把握しやすくなっています。

「いま自分がどんな服をもっているのかひと目でわかるので、眠ったままになりがちな服がなくなりました。洋服を見渡していると『こういう組み合わせもできるんだな』と新しい発見もあって。服の数を把握できるのもよいですよね。数えてみたら、実は100着以上もあって。意外と服持ちなんだな、なんて思いました」

季節を限定せずに着ているものが多いそうで、模様替えは2つのボックス(写真右上)を入れ替える程度の簡単なものだそう。マフラー、帽子などの小物はかごを上手に使って収納されています。
大切なものだからこそ、きちんと整えて並べてあげたい
「洋服は大好きだし、仕事でも扱っているので、やっぱりいちばん大切にしていきたいもの。だからこそ、収納もちゃんと整えたいなと思って。お店のディスプレイのように並べて洋服や小物たちがかわいく収まっている様子を眺めるのも、楽しみのひとつです」

アクセサリー類はガラスケースにひとつひとつ並べて収納。「ときどき場所を入れ替えて楽しんでいます」と井上さん

床にはホームセンターで購入した板を敷き、柿渋で塗装。壁は漆喰を使い、少しずつ自分好みに仕上げていったそう
心地よさだけでなく、快適に暮らす工夫が詰まった井上さんのDIY空間は、好きなものに囲まれて暮らすヒントにあふれています。

本棚も近所の友人が手づくりしてくれたもの。2階の棚には小説やエッセイなどプライベートで楽しむ本を収納

こちらは1階アトリエスペースの本棚。デザイン関連の書籍や仕事の参考資料を収納し、使い分けしている
【イベント出店のお知らせ】
松屋銀座7階 デザインギャラリー1953“冬を楽しむ贈り物”

会期:2025年11月19日(水)~25日(火)
営業時間:11:00~20:00 ※最終日は17時閉場
場所:松屋銀座 7階 デザインギャラリー1953(東京都中央区銀座3丁目6−1)
詳細は井上さんインスタグラムから。
〈撮影/林紘輝〉
井上加奈子(いのうえ・かなこ)
テキスタイルデザイナー、イラストレーター。多摩美術大学テキスタイルデザイン専攻で染織を学ぶ。2014年にテキスタイル・アパレルブランド「Canako Inoue」を立ち上げ、国内生産のオリジナルテキスタイルを用いた洋服や服飾雑貨などを展開。自社製品の百貨店・イベントでの販売に加え、メーカーや小売店とのコラボレーション、ノベルティ制作などを行う。やわらかな線とやさしい色彩の作品が幅広い層に人気。
インスタグラム@canakoinoue





