あたらしい年に思いをめぐらし、今年を振り返る
秋が深まり冬の気配がしはじめるころは、残り少なくなった今年とあたらしい年に思いをめぐらせる日がふえてきます。
今年、新たに使いはじめ「よかった」と思うものがいくつかあります。いままでのものもすきだけれど、新しいものにしたら「想像以上によかった」というものです。なかには、すっかり忘れていたけれど再び使ってみたところ「やはり、よかった」というものもあります。世界は常に現在進行形です。何かを更新すると、暮らしや気持ちもそれに伴いアップデートしていきます。
想像以上によかったヘアケアアイテム
例えば──数年前から使いはじめたものに椿油があります。きっかけは柘植(つげ)の櫛を使うようになり、お店の方に勧められたのが最初です。
当初は、櫛の手入れとヘアケアの時だけ使用していました。それが次第にフェイスオイルとしても使うようになりました。やがて、使う範囲がさらに広がり、ボディケアとしても。そうなってくると「全身、これ(椿油)だけで事足りるかもしれない」と思うようになってきました。
香り高いオイルをはじめ、色々使ってきましたが、昔からある信頼できるものです。いまは、椿油が「基本のオイル」になりました。

椿油100%の大島椿油。1927年創業。100年近く前から使われているそう
入浴前に髪に数滴。入浴後全身に。ドライヤー前のケアとして。乾燥時のフェイスオイルとして。いまはそんな風に使っています。
若い時分には、重かったオイルも、いまの年齢になり合うようになったのかもしれません。価値観の変化もあるでしょう。とにかく、いま、洗面台の棚のなかにはいつも椿油があるのが当たり前になりました。
もうひとつは自家製
もうひとつ。思い出して使い始めたものがあります。枇杷の葉エキスです。こちらは自分で作った10年以上前のもの。

自家製枇杷の葉エキス。遮光瓶に入れ冷暗所で保存
作り方はとても簡単。芽吹きの季節の枇杷の葉を採り、乾燥させ、ざくざく切ったものを焼酎に漬ける。半年経過したころに葉を取り除き、保存容器にいれる。それだけです。
そんなふうに作った枇杷の葉エキスをふと思い出し使いはじめたところ、こちらもよかったのです。枇杷の葉エキスは火傷にいいといわれています。一度、手の甲に熱湯がかかり火傷をしたことがあります。10年ほど前でしょうか。その時は病院にいくことなく、枇杷の葉エキスでよくなりました。手の甲も水膨れにもならず、跡も残らず、きれいに治ったのです。
それを思い出し、皮膚の気になる部分(シミなど)に少しつけてみたところ「なんとなくいい」のです。この「なんとなく」というのは、言語化できていないだけのことで、体感的にいいと感じていると捉えています。
来年、枇杷の葉が芽吹く季節には、新たに自分で枇杷の葉エキスをつくろうと考えています(肌が敏感な方は合わないかもしれないので使用する際は気をつけてくださいね)。あたらしい年の予定ひとつです。
年末年始は、買い替え、買い足し、更新のタイミングでもあります。壊れてしまったもの、使わないものを処分して、あたらしい年(歳)を迎えたくなる時期でもあります。
この1年の暮らしを見直し、わたしを助けてくれたもの、すきになったものを、次の年もまた──。

最近、飲み始めた枇杷の葉を使った「祝島びわ茶」。ノンカフェイン

広瀬裕子(ひろせ・ゆうこ)
エッセイスト、設計事務所共同代表、空間デザイン・ディレクター。東京、葉山、鎌倉、瀬戸内を経て、2023年から再び東京在住。現在は、執筆のほか、ホテルや店舗、住宅などの空間設計のディレクションにも携わる。近著に『50歳からはじまる、新しい暮らし』『55歳、大人のまんなか』(PHP研究所)、最新刊は『60歳からあたらしい私』(扶桑社)。インスタグラム:@yukohirose19




