本をこよなく愛する本屋店主5名の、心に響いた一冊をご紹介。店主のまっすぐな言葉で本の魅力をお届けします。紹介してくれるのは、“フェミニズム”を多様な角度から提案するエトセトラブックスBOOKSHOP店主・寺島さやかさん。寺島さんの心に響いた“この一冊”、今回は『鳥と砂漠と湖と』です。
寺島さんが選ぶ“この一冊”
『鳥と砂漠と湖と』
心の壁にも届く本を教えてくれた、寺島さん。今回おすすめしてくれたのは、テリー・テンペスト・ウィリアムス著、石井倫代訳『鳥と砂漠と湖と』です。

『鳥と砂漠と湖と』(テリー・テンペスト・ウィリアムス著 石井倫代訳 宝島社 絶版)
ユタ州/グレートソルト湖の近くに暮らす著者の日常と思索が綴られます。
がんが再発した母親と向き合うプロセス。みずからの「女性」としての経験について。湖の洪水で命が脅かされる渡り鳥たち(各章のタイトルが野鳥の名前で、必ずその鳥が登場する)。そして核実験、戦争――さまざまなテーマが内包されています。
人間中心の時間と自然界に流れる時間をどちらも描いていて、それがつながっている。そのバランスがしっくりくるんです。
著者はフェミニストで、本書はエコフェミニズム運動においても重要な作品として知られています。
終盤、夢のなかで、「片胸の女たち」が歌う幻想的な場面は、何度読んでも胸が熱くなります。
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天然生活2025年12月号では、「本屋店主の心に響いた、この一冊」を紹介しています。エトセトラブックスBOOKSHOP・寺島さやかさんをはじめ、魅力的なお店を営む5名に、歩みを照らしてくれた本を教えていただきました。あわせてお楽しみいただけましたら幸いです。
〈文/寺島さやか〉
寺島さやか(てらしま・さやか)
東京・下北沢の「本屋B&B」で店長を務めたのち、2021年に「フェミニストのための書店」をテーマに掲げた「エトセトラブックスBOOKSHOP」の実店舗の立ち上げに参加。以後、店長として新刊から古書まで幅広く選書し、フェミニズムへていねいに光を当てている。店頭で配布している手書きのおたよりも名物のひとつ。
HP:https://etcbooks.co.jp/bookshop/
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