• 冬になるとつくりたくなるもの。それはわが家自慢のお鍋です。料理研究家の荻野恭子さんに、とっておきの十八番鍋「いわしのタジン」のつくり方を教えていただきました。砂漠の地で生まれた、タジン鍋。湯気の向こうの大切なだれかを思い浮かべながら、いつもと違う鍋料理を楽しんでみませんか。
    (『天然生活』2025年2月号掲載)

    「いわしのタジン」のつくり方

    画像: 「いわしのタジン」のつくり方

    スープには、素材のうま味が濃厚に溶け出して。

    手軽な即席塩レモンの味わいが、奥深いおいしさの秘密です。

    材料(2~3人分)

    ● いわしの水煮缶1缶(200g)
    ● 玉ねぎ1/4個
    ● じゃがいも1個
    ● かぶ1個
    [塩レモン]
    ・レモン1/4個
    ・塩小さじ1/2
    A
    ・トマト水煮缶、水各1/2カップ
    ・オールスパイス(パウダー)、黒こしょう各小さじ1/4
    ● 香菜の葉1枝分
    ● オリーブオイル大さじ2

    つくり方

     玉ねぎは薄切りにする。じゃがいもは皮つきのまま5mm厚さの輪切りにする。レモンは薄いいちょう切りにし、塩をまぶす。

     かぶは葉を落とし、4~6等分程度のくし形切りにする。葉は3cm長さのざく切りにする。

     タジン鍋にオリーブオイルをひき、といわしの水煮を缶汁ごと入れる。Aを加えてふたをし、10分ほど弱めの中火で蒸す。を加え、さらに5分蒸す。

     ふたをあけ、ざく切りにした香菜をのせる。

    画像: タジンがなければ土鍋を使って

    タジンがなければ土鍋を使って

    おすすめの〆

    ピタパン

    ここはやはり、地中海沿岸や北アフリカで食べられているピタパンを。スープにひたしながら食べてもいいし、袋状に開いて具をはさんでも。

    画像: いわし缶で10分!冬のかんたん煮込み鍋「いわしのタジン」のつくり方。料理研究家・荻野恭子さんの十八番鍋、砂漠の民の知恵が詰まった“タジン鍋”が素材のうま味を引き出す

    鍋の向こうに、民族の歴史を垣間見て

    大きな鍋に、肉や野菜をたくさん入れて、ぐつぐつ煮込んでみんなで食べる。そんな楽しみ方は、どうやら人類共通のようです。

    「料理の面白いところは、民族それぞれの暮らしぶりが表れているところ。

    たとえば、タジン。今回は日本の鍋料理に寄せたアレンジをしたので水を少し入れましたが、本来は素材の水分だけで煮込むのね。なぜなら、タジンは砂漠で生まれた鍋だから。モロッコあたりは水が貴重な地域ですから、できるだけそれを使わずに調理する方法が、ちゃんと考えられてきたというわけです。

    だし汁をなみなみと張って素材を煮る日本の鍋料理なんて、彼らから見たらすごく贅沢なものなんですよ。水がきれいな日本だからこその食文化、特徴といえますよね」

    画像: 鍋の向こうに、民族の歴史を垣間見て


    〈料理・スタイリング/荻野恭子 撮影/公文美和 取材・文/福山雅美〉

    荻野恭子(おぎの・きょうこ)
    テレビ、雑誌、書籍などで活躍を続けながら世界各国をめぐり、食文化を学ぶ。著書に『ビーツ、私のふだん料理』(扶桑社)。本場の味を学べる料理教室も大人気。
    https://www.cook-ogino.jp/

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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