(『天然生活』2025年5月号掲載)
食べられる庭の贈りもの
家族でこの家に引っ越してきたのは、家の敷地より庭が広いことが決め手だったと中川たまさん。
松や梅がある古風な庭に好きな果樹やハーブを植え、日の当たる場所に造作したプランターで野菜を育て......。
5年半ほどたったいま、殺風景だった庭は食卓を彩る植物でとてもにぎやかになりました。

神奈川県逗子市で、5軒目にして出合ったという理想の庭。大工仕事が得意な夫とともに、「食べられる庭」づくりを続行
実ものの楽しさ
農薬の心配がないので皮ごとむだなく使います。
植えた柑橘は、ゆず、レモン、ライム、甘夏、きんかん、ベルガモット、そして湘南ゴールド。
「春と秋に近くで開催される植木市は、昔ながらのレモンや甘夏、なかなか市場に出ない果樹もあり、いつもワクワクします」

しっかりしたトゲがある昔ながらのレモン
苗木は植木市の主催者が家まで届け、日当たりなど適した場所に植えてくださったそう。
成長を楽しみながら、実った果実は余すところなく料理に使います。
「甘夏は実も皮も白いワタも全部使ってほろ苦いマーマレードに。ゆず塩麴は、タイやカンパチなど脂がのった白身魚との相性がいいです。完熟のライムは塩漬けにして保存し、煮込み料理やタコスにきざんで加えてもおいしいです」

左から、甘夏のビターマーマレード、ゆず塩麹、完熟塩ライム

実をくりぬき、野草茶などを詰めて蒸し、1カ月干したゆず釜茶
レモンやライムは葉にも香りがあり、お菓子の香りづけに使うことも。
初夏にはいい香りの白い花をつけるので、少し摘んでシロップ漬けに。
実がなる木が庭にあると気持ちまで豊かになります。
実がなる冬から春先にかけては「柑橘仕事」で大忙し。
マーマレードにドレッシング、はちみつ漬けなど。
皮も安心して使え、柑橘のいい香りが家中に広がります。

レモンは皮に香りあり。バターを常温でやわらかくのばし、レモンの皮を削り入れ、よく混ぜればレモンバターのでき上がり

レモンバターは、ゆでたてのパスタに絡めるだけでとびきりのごちそうになる
<撮影/山川修一、取材・文/増本幸恵>
中川たま(なかがわ・たま)
神奈川県逗子市在住。季節の野菜やハーブ、フルーツを使ったシンプルな料理、センスのよいスタイリングが人気。月に数回、自宅のアトリエで料理教室を開催。著書に『たまさんと魚料理』『ジャムと料理とお菓子』(ともに文化出版局)、『せいろで日々ごはん』(家の光協会)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです




