薬草を「食」の中に探す。台湾スイーツ“仙草ゼリー”の食べ比べ
とはいえ、今回ガイドブックを眺めながら気になった台湾スイーツに「仙草ゼリー」があります。なぜなら、あのつやつやの黒い塊に見えるゼリーは「仙草」というシソ科の薬草が原料だと知ったからです。
シソ科といえば、ミントやタイム、ローズマリーといった、香りが高く、消化器系の不調を整えてくれるようなハーブの仲間です。そんなシソ科の植物が主役のスイーツに興味をひかれました。
台北植物園のウェブサイトによれば、「仙草(Mesona chinensis)」は台湾および中国原産の一年草で、台湾の山岳地帯全体に広がる砂質草地に生息するとのこと。
植物全体を煮出してつくるゼリーは、解熱・解毒作用があり、熱中症、風邪、高血圧、筋肉痛や関節痛などの治療に効果があるとして知られています。
季節外れな気もしましたが、どんな姿で、何色の花を咲かせるのか気になったので、台北植物園を訪ねてみました。花の盛りの時季ではありませんでしたが、淡い紫色をした花を見ることができました。こんなにかわいらしい植物が、黒いゼリーの正体でした。

仙草の愛らしい花
台北、台中、台南と巡りながら、屋台や店舗で仙草ゼリーを食べ比べてみました。
牛乳に仙草ゼリーが浮かんだ「仙草奶凍」はストローで飲むタイプで、ショッピングで歩き回った後にするするっと喉を通っておいしい。
寒い時季におすすめと聞いた、仙草を煮出した温かい「焼仙草」には、生のピーナッツがトッピングされていました。甘味はうっすらとしていて、滋味が口に広がります。冷めてくるとゆるいゼリーのようになり、とろっとした仙草茶を飲み干すようなイメージです。
この苦甘いような風味は仙草そのものなのか、ゼリーの材料が知りたくて、自然食品店で見つけたお湯を注ぐだけでできるインスタントの仙草ゼリーを購入してみました。
材料には仙草に黒糖と小麦粉が加えられているだけで、とてもシンプル。お湯を注ぐだけで、自宅で焼仙草を楽しむことができます。いつか乾燥した仙草を購入して、仙草ゼリーをつくってみたくなりました。
台湾を知る1冊
『台湾醬・台湾のおいしい調味料』種籽設計・著、光瀬憲子・訳(翔泳社)
次回は、台湾の伝統的なハーブティー「青草茶」のお話です。どうぞお楽しみに!
〈撮影/田尾沙織 文/石丸沙織〉
石丸沙織(いしまる・さおり)
英国メディカルハーバリスト、アロマセラピスト。イギリスでハーブ医学を学んだのち、東京、香港を経て、2011年より鹿児島県奄美大島在住。地域に根差したハーバリストとして、身近なハーブを暮らしに取り入れたケアを広めている。菓子研究家・長田佳子さんとの共著に『ハーブレッスンブック』(アノニマ・スタジオ)、訳書に『フィンランド発 ヘンリエッタの実践ハーブ療法』(フレグランスジャーナル社)がある。
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メディカルハーバリストの石丸沙織さんと菓子研究家・長田佳子さんは2018年より「herb lesson」を開催してきました。ハーブのテイスティングとそのシェアリングに時間をかけ、教科書的なハーブの知識だけではなく、それらが使う人の心身にどのように響くかを大切にしています。
ハーブティー、ブレンドの考え方、ハーブバス、チンキなどのレメディ、ハーブの風味を味わうお菓子を暮らしに取り入れてみましょう。自分の感覚を大事にする、こころとからだを癒すセルフケアの方法やアイデアをご紹介します。
ハーブとの出会いを通して、新しい自分に出会える一冊です。





