(『天然生活』2025年5月号掲載)
試行錯誤を楽しみながら、1年を植物とともに
「ベランダで野菜を育てるのは、味わうという楽しみと同じくらい、成長する過程を逐一見られることが、私にとっては大切。
収穫の効率を考えれば、ネットをかぶせたり、市販の支柱を立てたりする方が早いのはわかっているけれど、私は景色としてのグリーンを楽しみたいから、できるだけ、自然のままで育てたい。
一年草で枯れてしまったバジルの枝を残しておけば、ちゃんとえんどうのつるがそこに自然に絡みつく。土を豊かにするためには、肥料を与えるだけが解決策ではなく、多肉植物で覆って、土の中の微生物を守ってやればいい。そんな自分らしい試行錯誤を繰り返しながら、ベランダの植物とともに暮らしつづけています」
ベランダグリーンの楽しみ①
生きものを身近に感じられる
ベランダにグリーンがあふれるようになってから、どこからか鳥たちが現れてさえずるようになったそう。

朝の目覚めは鳥たちのさえずりで。写真は夫の田中 淳さんが撮影したメジロ。春先はチョウも訪れる
「わが家は、駅近で緑豊かな場所というわけではないのですが、鳥たちがちゃんとこのベランダを見つけてくれたんですね」
楽しそうに緑の間を飛びまわる鳥の姿を見ながら、朝のひと時を過ごすのはとても幸せなこと。
ベランダグリーンの楽しみ②
野菜が成長する姿がかわいい
スーパーで、“完成した姿”しか見慣れていない野菜。種や苗から自分で育ててみれば、愛着もひとしおです。
「つるをどんどん伸ばしていく様子や、少しずつ実が大きくなっていくさまなど、育てていなければ知らなかった姿をたくさん見られます。『かわいいなあ』なんて眺めているうちに、収穫の時季をつい逃してしまったことも」

紫カリフラワーは、収穫のベストな時季を見極めているうちにどんどん大きく成長したそう(撮影/田中 淳)

その紫カリフラワーは……「ある日、バンッと爆発したようになって、スティックカリフラワーになりました」
ベランダグリーンの楽しみ③
1年中緑が絶えない
夏はトマト、冬はえんどうといった具合に、ひとつのプランターに季節ごとの野菜をローテーションさせることで、一年中緑が楽しめます。
コツは、必要な養分が異なる野菜を植えること。
それなら、施肥も最小限でプランターの土を替えることなく使い続けることができます。ミミズコンポストも活用して、土も豊かに。

枯れたバジルの枝につるを這わすえんどう

夏はこのプランターにトマトが植えられていた

真ん中のつぼがミミズコンポスト

〈撮影/有賀 傑 取材・文/福山雅美〉
たなかやすこ(たなか・やすこ)
大学で工業デザインを学び、腕時計メーカーのデザイナーとして勤務。長男の小学校入学を機に退職。同時に近所に菜園を借りて野菜づくりに目覚め、ベランダ菜園にも夢中になる。近著に『ベランダで愉しむ 小さな寄せ植え菜園』(山と渓谷社)がある。
https://www.greengloves.jp/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです




