(『天然生活』2025年8月号掲載)
睡眠の質を上げる、就寝前の4つの習慣
暑さやじめじめで寝苦しい、忙しくて睡眠不足、寝ても疲れがとれない……。そんな人に、今日からすぐに実践できる、快眠テクニックを睡眠学の権威である筑波大学教授の柳沢正史先生に教えてもらいました。
1.ルーティンの「入眠儀式」をつくる

寝る前に行う行動や習慣を決め、毎日繰り返すことで、脳は「いまから寝るんだ」と学習してスムーズに入眠できるようになります。こうした「入眠儀式」は、子どもを寝かしつけるときによく取り入れられますが、大人にも効果的です。
入眠儀式は、脳や神経を刺激しないことがポイント。アロマを楽しんだり、ストレッチをしたり、読書をしたり、心身のリラックスを促す方法を、毎日同じ順番で行うことで、より効果が高まります。
パジャマに着替えることも、意識を眠る方向に導くために有効です。入眠儀式が、眠る準備を整えることにもつながります。
2.就寝1〜2時間前までに湯船に浸かる

私たちの体は眠りにつくとき、深部体温を下げて休息状態に入る仕組みがあり、下がる落差が大きいほど深い眠りにつくことができます。
入浴すると、深部体温が上昇し、1〜2時間後に大きく下がります。このタイミングで布団に入るのがベスト。「温泉効果」で睡眠の質が高められます。
40℃程度のお湯に10〜15分浸かり、汗ばむくらいが目安です。筋肉がゆるんで血行が促進され、リラックス効果も得られます。42℃以上のお湯は、交感神経を刺激して眠りを妨げる恐れが。入浴後は薄暗い照明のなかで入眠儀式を行って、ゆったり過ごすのが理想です。
3.夕食は就寝4時間前までに

食事をしてすぐ寝るのは禁物です。食後は胃腸が活発に働いて深部体温が上がるため、眠りが浅くなりやすく、消化不良も引き起こします。胃腸の働きが落ち着くまで3時間ほどかかるため、寝る4時間前までに夕食を終わらせましょう。
糖質や脂質を摂りすぎると消化しきれず、なかなか眠れなくなることもあるので気をつけて。一方、空腹の状態では、神経細胞が刺激されて覚醒物質「オレキシン」が生成され、眠れなくなってしまいます。夕食の時間が遅くなってしまうときは、消化のよいものを軽めにいただき、おなかを満たしましょう。
4.コーヒーやお茶は午後6時まで

カフェインの覚醒作用は、摂取後30分〜1時間で最大の効果を示し、個人差はあるものの、8時間ほど作用が体に残ることも。カフェインを摂っても眠れる人はいますが、眠りが浅くなり、利尿作用も働くため睡眠の質は確実に下がります。
できれば午後4時以降、遅くても午後6時以降はコーヒーや緑茶、紅茶を控えることで、睡眠に及ぼす影響を減らすことができます。
夕方以降はノンカフェインのハーブティーや麦茶がおすすめですが、寝る前に水分を摂りすぎると夜間頻尿の原因に。夜の水分補給は、コップ1杯程度にしましょう。
〈監修/柳沢正史 取材・文/熊坂麻美 イラスト/芳野〉
柳沢正史(やなぎさわ・まさし)
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構機構長・教授、医学博士。31歳で渡米し、24年間にわたり米国で研究室を主宰。睡眠を制御する「オレキシン」の発見者。米国科学アカデミー正会員。紫綬褒章、朝日賞、文化功労者、ブレークスルー賞など受賞多数。『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』(朝日新聞出版)監修。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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