• デジタルとAIが暮らしのあちらこちらにまで入りこむ現代社会。そんな時代にあって、スマートフォンもインターネットもテレビもない生活を送り、全粒粉のパンを焼き、鶏の世話をし、手洗いで洗濯をする。そんな3年間を送っている高校生たちがいます。映画『聴く隣人のいるところ』から垣間見える、彼らの「不便な暮らし」の先にあるものとは。

    配信より合唱を、SNSより対話を

    画像: 音楽の授業、朝夕の礼拝など、毎日必ず歌をうたう機会がある

    音楽の授業、朝夕の礼拝など、毎日必ず歌をうたう機会がある

    もうひとつ、この愛真高校で大切にされていることが「聴くこと」です。

    キリスト教の教育のため、毎朝、授業の前には礼拝があり、週末は日曜礼拝が行われ、毎日讃美歌を歌います。

    音楽を愛する学校で、ヘンデルのオラトリオ『メサイヤ』の中の『ハレルヤ』は、在校中に何度歌うかわからないほど。

    画像: 作詞作曲をしてオリジナルソングやラップを披露する子たちも

    作詞作曲をしてオリジナルソングやラップを披露する子たちも

    放課後にピアノやギターを弾く生徒の姿は日常的。廊下や講堂でオリジナルソングを歌っている子も少なくありません。文化祭では、歌や演劇の練習に何週間もかけて向き合います。

    画像: 生徒同士で向き合って意見を交わし、ときには対立することもある

    生徒同士で向き合って意見を交わし、ときには対立することもある

    また、毎晩、食事後に「夕会(ゆうかい)」と呼ばれる時間があり、当番の生徒がノートに自分の思いを綴り、みんなの前で読み上げます。

    それは心の声の吐露であったり、社会や学校への批判であったり。

    自主性が重んじられ、話し合いが頻繁に行われます。

    生徒だけではなく、職員もひとり1票をもち、学校のルールも、寮の決めごとも、とにかく話し合って決めていきます。

    画像: さまざまなルールを決める「全体会」。議長は生徒、副議長は教員が務める

    さまざまなルールを決める「全体会」。議長は生徒、副議長は教員が務める

    「野良猫を飼ってもいいか」「IHコンロを導入してもいいか」といったことまで、生徒たち自身が真剣に意見を交わすのです。

    一般的な10代に比べて、他者の話を聞き、自分の意見を述べる機会が多く、対話の重要性を知ることになります。

    配信された誰かの言葉を一方的に浴びるのではなく、目の前の相手と向き合い、自分の言葉で語る。当たり前のようでいて、現代社会においては、実はなかなか難しいことなのかもしれません。


    <取材・文/大村椿>

    『聴く隣人のいるところ』 https://kikurinjin.com/

    【監督】早川嗣 
    【出演】キリスト教愛真高等学校(2024年度在籍者)https://aishinhigh.ed.jp/
    2026年/111分
    配給協力:ポレポレ東中野 
    製作・配給::ポレポレタイムス社

    6月6日(土)より、ポレポレ東中野ほか全国の劇場で順次公開中 


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