賃貸だからこそ、好きな家具を迎えてよかった。私が「いつか買おう」をやめた理由
「いつか、いい部屋に住んだら買おう」……そう思い続けている憧れの家具、ありませんか?
その「いつか」の裏には、もしかしたら「いまの自分にはまだ早い」「いまの部屋にはもったいない」という気持ちが隠れているかもしれません。
でも、眺めるだけで幸せな気持ちになれるものなら、いまの自分にその“いやし”をつくってもいいと思うのです。
とはいえ「引っ越したときに合わなかったら」という不安が出てくるのも、また事実。そのときの考え方と、選び方のコツを少しお伝えできたらと思います。
賃貸の家具選びの考え方①
まずは「サイズに左右されないもの」から迎えてみる
私が最初に迎えたのは、ヴィンテージのアーコールチェア*でした。
インテリア業界に入ってから、憧れていた椅子。家具屋さんで見かけるたびに「いつか」と思いながら、なかなか踏み出せずにいました。
*アーコール(ERCOL)
1920年、家具デザイナーのルシアン・アーコラーニによって創業されたイギリスの老舗家具メーカー。曲げ木技術によるシンプルな椅子「アーコールチェア」が人気。

初めて迎えたアーコールチェア。ひとり暮らしのときの賃貸
迷っていた大きな理由は、「次の家で似合わなかったらどうしよう」「好みが変わってしまうかもしれない」ということでした。
いまの部屋には合っていても、引っ越した先では浮いてしまうかもしれない。好きなテイストが変わってしまうかもしれない。そう考えると、なかなか決断できなかったのです。
でも、椅子や照明、アートのなかには部屋のサイズや間取りに左右されないものも多く、どんな家に引っ越しても一緒に持っていくことができます。少しずつ好みが変わっても、ほかのアイテムとの組み合わせで、「好きなバランス」はつくりやすいと思います。
正直、6年以上ともに過ごしてきて、好みは少しずつ変化しました。でも、合わせ方を変えることで、「いまの気分」にフィットさせることもできる。
そんな変化も楽しみとしてとらえると、ちょっと背伸びしたものも、迎えるのが怖くなくなるんですよね。
部屋の広さや間取りによって選択肢が制限されがちな大きなソファやダイニングテーブルより先に、そうした調整可能なものから少しずつ迎えていく。それが、長く一緒に暮らせる家具との出合い方かなと、いまは思っています。
賃貸の家具選びの考え方②
目に入りやすいものから選んでみる

憧れのヴィンテージチェアを迎えてみると、不思議なことが起きました。
椅子があるだけで、パッと部屋が明るくなったような感覚があったのです。部屋の一角が、いつ眺めてもいいと思える風景になりました。

ひとり暮らしだったころの部屋
朝カーテンを開けたとき、掃除をしてふと部屋を見わたしたとき。そこに好きな椅子があるだけで、少し気持ちが満たされる。
座るためだけでなく、「景色として部屋にある」という存在になっていったのです。
家具って使うだけじゃないんだなと、初めて実感しました。

だから憧れの家具を迎えるなら、毎日自然と目に入る場所に置けるものから選んでみることをおすすめしたいのです。
毎日触れる椅子、毎日過ごすリビングダイニングの照明、キッチンに立ったときに目に入る一角。
滞在時間が多く、自分がよく過ごす場所に「ここだけは好きな景色」という場所がひとつあるだけで、毎日の気分がずいぶん変わります。
もし、何から選べばいいのか迷ったら、そういう視点で考えて、優先順位をつけてみるのがおすすめです。

岩部 圭子(いわべ けいこ)
インテリアや生活雑貨のブランドで、WebコンテンツやSNSの企画・制作に携わったのちインテリアプランナーとして独立。「素敵な部屋に憧れるばかりだった自分」の経験をもとに、いまある住まいの中で少しずつ好きな空間を育てていく方法を発信している。インスタグラムやブログのほか、オンラインで部屋づくりの相談を受けながら、暮らしとインテリアを自分のものさしで楽しむヒントを届けている。
インスタグラム:@be___him
インテリア相談室:https://behim.blog/
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