• スープといえば、食事に添える脇役? いえいえ、工夫次第で、スープは食卓のりっぱな主役に。ごはんまで一椀に収まれば、それだけで満足できる一食になります。今回は、フリー編集者の綾田純子さんが、スープ作家の有賀 薫さん身近な食材でつくるスープの楽しみと、毎日の食事を気楽に組み立てるヒントを伺いました。

    スープって、こんなに自由!

    この記事を担当した私も、スープにずいぶん助けられてきました。

    高齢の両親の食が細くなり、おかずや味付けを工夫しても、半分以上残るなんてことがしばしば。あるとき、残ったおかずとごはんをスープに入れてみたら、するすると口の中へ。あら、食べた! 気づけば、一椀ぺろりです。

    そのうち、「今日は食が進まなさそうだな」と感じる日は、はじめからスープや汁の中に、ごはんとおかずを合わせ、薬味を添えるように。お椀が空になる日が、ぐっと増えました。

    最初は、ちょっぴりためらいもありました。でも、食べてくれるうれしさにはかないません。スープかけごはん(いわゆる、ねこまんま?)は、いつしかわが家の定番になりました。

    そんなころ目にしたのが、スープ作家・有賀 薫さんのスープでした。汁物にししゃもがのっていたり、オムレツがどんと浮かんでいたり。一椀が食事になっている! その自由さに驚き、心つかまれました。わが家のあの一杯も、堂々たる「食べるスープ」に見えてきて、なんだかほっとしたのです。

    画像: オムレツスープ。卵料理もスープの主役に。パンにもごはんにも合う、懐の深い味わいです

    オムレツスープ。卵料理もスープの主役に。パンにもごはんにも合う、懐の深い味わいです

    画像: ししゃもにゅうめん。表面をカリッと焼いたししゃもの香ばしさも、スープの味わいに

    ししゃもにゅうめん。表面をカリッと焼いたししゃもの香ばしさも、スープの味わいに

    名もなきスープ、されど絶品

    「今日のごはんは何?と聞かれると、ハンバーグやしょうが焼きのような名前のある料理を思い浮かべますよね。でも実際の家庭料理には、冷蔵庫にあるものをきざんで煮たり、炒めたりした、名前のない料理もたくさんあります」と有賀さん。

    たしかに、スープも同じ。その日の冷蔵庫と暮らしぶりが、そのまま入ります。

    「そのとき家にある野菜や肉、魚、缶詰なんかを鍋に入れて煮る。調理中、ずっと手をかけなくてもつくれるし、帰宅時間が違う家族には温め直して出せる。とても融通が利くんですよね」

    「何々と何々のスープ」としか呼べない一椀も、立派な家庭料理。むしろ、そんな名もなきスープこそ、ふだんの食卓によく似合います。

    画像: トマ豚汁雑炊。余ったスープにごはんをひとすくい加えた、大満足の一皿

    トマ豚汁雑炊。余ったスープにごはんをひとすくい加えた、大満足の一皿

    汁とごはんで満たされる日

    有賀さんのとある日の昼食は、前日の鍋に残ったえのきと春菊を入れた味噌汁と、白いおむすび。

    「買ってきたおにぎりやお弁当には、野菜の入った温かい味噌汁を一杯添える。ほんの少し自分の手をかけたものがあると、気持ちが満たされるんですよね」

    画像: 鮭とじゃがいものバター味噌汁。具だくさんのお味噌汁は、りっぱな主菜になってくれます

    鮭とじゃがいものバター味噌汁。具だくさんのお味噌汁は、りっぱな主菜になってくれます

    毎日の食卓は少しくらい凸凹でもいい、と有賀さんは考えます。

    「たとえば、週に1、2回、『今日は汁とごはんでいい』という日をはさんでみたらどうでしょう。献立を考える負担がかなり減りますよ」

    肉や魚と野菜を入れた具だくさんの汁に、ごはんを添える。それだけで、満足感のある一食になります。おかずの品数を増やす代わりに、汁物を少し豊かにする。そんな献立の組み立て方もあるのですね。

    画像: ニラ豚汁。これ一杯にごはんを添えれば、満足感のある一食に

    ニラ豚汁。これ一杯にごはんを添えれば、満足感のある一食に

    冷凍庫にスープのもとを

    忙しい日に頼りになるのが、冷凍庫の小さなストックです。完成したスープではなく、その一歩手前となる「スープのもと」を用意しておくのが有賀さん流。

    スープを丸ごと凍らせると場所を取りますが、これならコンパクトです。缶詰や乾物も常備しておけば、さらに重宝します。

    有賀さん流、スープづくりを助ける「小さなストック」

    きのこの塩蒸し。酒で蒸して塩で味をつけ、小分けに冷凍。水と一緒に煮て、野菜やベーコンを足せばOK!

    玉ねぎや長ねぎをきざんで炒めたものを小分けに冷凍。スープはもちろん、カレーなど、他の料理にもつかえる

    トマト缶やトマトジュース、さば缶、ツナ缶も深いうま味になる

    春雨や干ししいたけなどの乾物は、ちょい足しに重宝する

    *市販のだしやスープの素に、冷凍したきのこや買い置きの缶詰を合わせれば、それだけで、わが家の手づくりスープのでき上がり。

    画像: さば缶とじゃがいものスープ。缶詰も、手軽で頼れるスープの味方

    さば缶とじゃがいものスープ。缶詰も、手軽で頼れるスープの味方

    画像: 冷凍オニオンスープ。炒め玉ねぎの甘味に、塩こしょうを少し。心と体にやさしく響く、滋味深いおいしさ

    冷凍オニオンスープ。炒め玉ねぎの甘味に、塩こしょうを少し。心と体にやさしく響く、滋味深いおいしさ

    有賀さんのお話を聞くうちに、いつもの食材が少し頼もしく思えてきました。

    次は何をスープにしよう。食材の組み合わせや味つけを変えながら、自分なりの一椀を試してみるのも楽しそうです。

    【仕事や介護をがんばる人へいやしを届ける「This Day BOX」】
    今回の取材を担当した綾田純子さん主宰の『This Day Magazine(街と、介護と、コーヒーと。)』から、仕事や介護をがんばる友人やご自身へ、ほっと安らぐぜいたくな時間を届けるギフトボックス「This Day BOX」が200個限定で登場。かわいい箱に「お茶とお菓子 横尾」のサブレ2種・満月茶・ZINE(小冊子)を、ひとつずつ手作業で大切に詰め込んでお届けします。
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    *ご予約期間:9/19(土)~10/2(金)



    〈写真提供/有賀 薫 取材・文/綾田純子〉

    画像: 冷凍庫にスープのもとを

    有賀 薫(ありが・かおる)
    スープ作家。1964年、東京都生まれ。2011年から毎朝スープをつくり続け、SNSで発信。素材を生かしたシンプルなレシピや、暮らしに寄り添う家庭料理の考え方を各種メディアで伝えている。スープの実験室「スープ・ラボ」をはじめ、スープをテーマにした活動も多数。著書に『スープ・レッスン』(プレジデント社)、『スープが作れたら、自炊は半分できたようなもの』(オレンジページ)など。
    インスタグラム:@arigakaoru

    【「スープの学校」第3期開催】
    9月29日(火)・10月13日(火)・10月22日(木)に、有賀薫さんの人気講座「スープの学校」(クックパッド主催)の第3期を開催予定。秋の味覚をまるごと味わう新テーマでお届け予定です。
    ▶お申込みはこちら

    取材した人:
    綾田純子(あやた・すみこ)
    編集者・ライター。1969年生まれ。東京でフリーランスとして、雑誌や書籍、広告の制作に携わった後、故郷・岡山へ。高齢の親の介護をしながら活動を続けるなかで、介護する人の暮らしにも「好きなものや美しいもの、ユーモアを」という思いから、「This Day Magazine(街と、介護と、コーヒーと。)」を立ち上げる。
    インスタグラム:@thisday_magazine
    YouTube:https://www.youtube.com/@Thisday_Magazine



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