• 秋の夜長を楽しむなら、まあるいお月さまのようなおはぎはいかが? 人気店「森のおはぎ」では、見ても食べても心が和む、さまざまなおはぎに出合えます。店主の森さんが教えてくれた、かわいくておいしいおはぎたち。今回は、「森のおはぎ」店主・森百合子さんにお話を伺います。
    (『天然生活』2015年11月号掲載)

    月夜に食べたい小さなおはぎ 「雑穀餅、黒米餅のつくり方」より続き —

    森のおはぎ

    大阪は梅田駅から各駅停車で揺られること約15分。岡町という駅で降り、どこか懐かしい商店街を抜けると、「森のおはぎ」が見えてきます。

    「この街のあったかい雰囲気が好きで」と話すのは、店主の森百合子さん。カフェでのイベント販売からスタートし、2010年に「森のおはぎ」を開店。昨年は姉妹店もオープンし、朝から晩まで、おはぎと向き合う忙しい日々を送っています。

    画像: 味わいのある木枠のケースには、色とりどりのおはぎのサンプルが並ぶ

    味わいのある木枠のケースには、色とりどりのおはぎのサンプルが並ぶ

    実は森さん、前職はデザイナーでした。会社勤めをするうちに、「自分でつくったものを自分で売る仕事がしたい」と考えるようになり、もともと食べることが好きだったことから、食に関わる仕事を意識しだしたそう。

    「おいしいものを食べると幸せになりますよね。人を幸せな気持ちにするって、すごい仕事だなって」

    画像: ショップカードも個性的。「お客さまからいただいた」というほのぼのとした人形も店になじんでいる

    ショップカードも個性的。「お客さまからいただいた」というほのぼのとした人形も店になじんでいる

    でも、なぜおはぎ? それは森さんの大好きなものだったから。

    「よく食べているものを思い返してみたら、おはぎだったんです。疲れたときのごほうびだったり、友達と集まったときのおやつだったり。自分にとって身近なもの、ふと食べたくなるもので何ができるだろう、と考えてみたら、そうだ!おはぎ屋さんだ、って」

    「食べてみたいと思ってもらえるおはぎをつくる」。これは、森さんがおはぎの販売を始めるときに自分に課したテーマ。みたらし団子みたいな甘辛いおはぎ、夏祭りを思い出すようなトウモロコシのおはぎ………。どれも森さん自身が食べてみたい、でも食べたことがないものばかり。

    素材、甘さ、彩り、食感。納得のいくまで試作を重ね、ひとつひとつ、「森のおはぎ」を生み出していきました。カラフルな姿、意外な素材のトッピング。「おはぎは苦手だけど食べてみたくて」。そんなお客さんが少なくないのは、未知なるおはぎの追求で得たオリジナリティゆえ。

    画像: 美大時代からものづくりが身近だったという森さん。「お菓子を生み出すことと、どこか共通しますね」

    美大時代からものづくりが身近だったという森さん。「お菓子を生み出すことと、どこか共通しますね」

    「嫌いなのによく食べようと思ってくれたなって。そういう方に、おいしかったといってもらえると、本当にうれしいですね」

    どんなに斬新なおはぎでも、森さんが大切にしていること、それは素材の味や香りです。「たとえば、くるみのおはぎなら、くるみの味や香りや食感がちゃんとわかるものがいいなと思うんです」

    調味料を選ぶときもレシピを考えるときも、素材の持ち味を生かすことを優先するという森さん。

    「あとは、おいしくなあれ、って念じながらつくることですね」

    おはぎが大好きな店主が心を込めて手づくりする「森のおはぎ」。パクッと頰ばれば、きな粉や小豆、木の実、野菜、やさしい味が口いっぱいに広がります。

    画像: 鹿児島睦さんデザインの紙袋もうれしい。贈答用には赤い帯付きの箱に詰めて(料金別途)

    鹿児島睦さんデザインの紙袋もうれしい。贈答用には赤い帯付きの箱に詰めて(料金別途)

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    <お菓子/森のおはぎ 撮影/広瀬貴子 スタイリング/大畑純子 取材・文/山形恭子>

    「森のおはぎ」
    大阪の岡町にある、おはぎ店。素材の風味を大切にしたおはぎは、見た目も愛らしく、あんこやきな粉などの定番から季節限定の品まで、常時、8種が楽しめます。古い建具を配した温かみのある店構えや店主の森百合子さんの気さくな人柄も人気のゆえん。
    大阪府豊中市中桜塚2-25-10
    TEL.06-6845-1250
    休み:日・月曜
    http://morinoohagi.jimdo.com/
    ※大阪・北新地に姉妹店の「森乃お菓子」がある。

    ※トップの写真について
    独学でおはぎづくりを習得し、イベント販売を始めた森さん。当初は、「おはぎ屋さんが夢」と、よく語っていたそう。やがて師匠と慕う和菓子職人との出会いもあり、店を持つことに。「人に恵まれて感謝です」

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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