(横山タカ子・著『信州四季暮し』より)
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鯖ずし
信州では、塩蔵した魚や烏賊(いか)をよく使います。海から遠いため、塩漬けして運び、その間に発酵が進んで、長寿の一役を担ったのかもしれません。
塩鱒(ます)、塩鮭、塩鯖(さば)、塩烏賊は、とりわけよく用いられます。
その中でも、塩鯖を使ったおすしを紹介しましょう。信州南部の伊豆木地方では秋の例大祭に奉納され、各家庭でも必ず作るおすしです。
塩鯖を甘酢でひと晩締め、ひと口大に切って、酢飯に混ぜます。ほどよく塩味の効いた鯖と酢飯がとてもよいコンビです。
庭の紅葉した山ぶどうの葉に包み、そのまま食卓でおもてなしです。
材料(4人分)
- 塩鯖(三枚おろし) 2枚
- 鯖漬け込み用
- 酢 80ml
- 砂糖 大さじ3
- 米 2合
- すし酢
- 酢 大さじ4
- 砂糖 小さじ4
- 塩 小さじ1
- 山ぶどうの葉 適量
作り方
1 鯖漬け込み用の酢に砂糖を溶かし、塩鯖のおろし身をひと晩漬ける。
2 米は通常通りに炊く。すし酢の材料を混ぜ合わせ、炊き上がったごはんに混ぜてすし飯にする。
3 1の薄皮をむき、背身と腹身を分けるように半分に切り、2cm幅に切る。これを2に混ぜる。
4 洗って水けをきった山ぶどうの葉で3を適量包む。
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花豆おこわの柏葉蒸し
もうひとつ、もち米で作る花豆おこわ。採れたての花豆は、あっという間に煮えてしまう柔らかさです。
私のおこわは、15分で蒸し上がる早さ。洗ったもち米をひと晩しっかり浸水させ、次の日、水分をきります。それを、2合に対して150mlの水を加えて火にかけ、水分を吸収させます。ここがポイントです。あとは、柏葉にひと匙ずつよそい、花豆を添えて蒸籠にかけること15分。
大きな花豆に艶やかなもち米。見るだけで「うれしいごはん」は伝わります。
材料(4人分)
- もち米 2合
- 花豆の甘煮(※) 40粒
- 水 150ml
- 柏の葉 適量
作り方
1 もち米は多めの水(分量外)にひと晩浸し、水けをしっかり切る。
2 1を鍋に入れ、分量の水を加え、中火にかけ、底から混ぜながら、水分を吸わせる。
3 2を柏の葉に盛り分け、一枚につき3~4粒の花豆をのせ、湯気の上がった蒸し器で15分蒸す。
<撮影/本間 寛>
横山タカ子(よこやま・たかこ)
料理研究家。長野県大町市生まれ、長野市在住。長年、保存食を中心とした長野の食文化を研究すべく各地に赴き、料理名人から教わる。長野県の特徴でもある、野菜をたっぷりと使った保存食は「適塩」で作り、季節の食材は手をかけすぎず、素材を生かしてシンプルに食べることを信条とする。地元の農作物を広める活動にも尽力。大の着物好きでもある。