(『天然生活』2017年2月号掲載)
鯖 × 大根おろし。寒い季節の定番
編集者の高橋良枝さんがつくる料理は、温かくて懐かしい、とびきりおいしい家庭料理。年下の友人たちから “お母さんの料理” と好評です。そんな高橋さんが教えてくれたのは、鯖のみぞれ鍋です。
「鯖は漬け汁に漬けて竜田揚げにするけれど、面倒なら下味なしで、から揚げでもOK。具材は、せりと豆腐に大根おろし。みぞれが溶けていく姿が美しくて、季節になると “みぞれ鍋を食べたいな” と思うの」
そういって笑う高橋さん。家族も友人も、この鍋に目がなく、いままでに何度となくつくった、と振り返ります。
脂がのった肉厚の鯖は、それ自体にしっかり味がついているので大根おろしとの相性はばっちり。シャキシャキとした、せりの食感に味がしみた豆腐と、それぞれが “いい” 仕事をしています。
大根おろしがたっぷり入ることを想定して、だしとスープの調味は濃いめに調整。何気ないけれど計算しつくされた、さすがのお鍋です。
鯖のみぞれ鍋
カリッと揚げた鯖とたっぷりの大根おろしを鍋にアレンジ。食いしん坊たちを黙らせる、冬の “おもてなし鍋” の定番。
材料(4人分)
● 鯖 | 1尾 |
● 木綿豆腐 | 1丁 |
● せり | 2束 |
● 大根おろし | 1/2本分 |
● 酒、しょうゆ | 各大さじ1 |
● 片栗粉 | 適量 |
● 揚げ油 | 適量 |
● 昆布 | 小1枚 |
● かつお節、さば節 | 各適量 |
● A | |
・しょうゆ、みりん | 各大さじ1 |
・酒 | 大さじ2 |
・塩 | 小さじ1/2 |
つくり方
1 鯖は三枚におろし、4~5等分のそぎ切りにする。ジップ付き袋などに酒、しょうゆとともに入れ、30分ほどおく。キッチンペーパーで汁けをふき取り、片栗粉をまぶしたら170~180℃の揚げ油で揚げる。沈んだ鯖が浮いて、こんがりと色づいたら取り出して油をきる。
2 だしをとる。鍋に水1リットルほど(分量外)と昆布を入れて弱火にかける。沸騰する直前に昆布を取り出し、かつお節とさば節を加える。弱火で30分ほど煮て濃いだしをとる。
3 土鍋に2のだし汁を600~800ml入れ、沸騰しないような火加減で温め、Aで味をととのえる。
4 1の鯖、食べやすい大きさに切った豆腐を入れる。豆腐が温まったら、せり、大根おろしを加えていただく。
シメは
お雑煮
鯖のおいしさがしみ出たスープと大根おろしには、お餅が最適。焼き網で香ばしく焼いて鍋つゆをかけ、せりの小口切りをのせて
料理名人の十八番鍋「とり団子鍋」|ZUBO D.I.Y.研究所 カナヤミユキさんへ⇒
料理名人の十八番鍋「豚バラと野菜のあっさり鍋」|イラストレーター 小池高弘さんへ⇒
料理名人の十八番鍋「根菜と豚肉の白味噌豚汁風鍋」|「茜夜」 柳本あかねさんへ⇒
<撮影/千葉亜津子 取材・文/結城 歩>
高橋良枝(たかはし・よしえ)
2005年に創刊した『日々』編集・発行人。昭和17年生まれの高橋さん、『日々』をつくる仕事仲間に負けず劣らず、料理や食べることに対する好奇心は人一倍。その原点は、子どものころに食べていた「昭和」の家庭ごはんだそう。それらのレシピをまとめた『昭和ごはん』(朝日新聞出版)も好評。
※ 高橋良枝さんは、2017年に逝去されました。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです