(『天然生活』2014年9月号掲載)
パンの種類が味わいに大きく影響
「パンの種類というのも、味わいに関して大きく影響しますね。今回、とくに面白かったのはベーグル。皮のかたいところと内側のもっちり感の違いが、いままでのフレンチトーストにはなかった新鮮なおいしさです。ちょっと時間はかかりますが、ぜひ、お試しを」
フレンチトーストづくりで大切なポイントはふたつ。
「今回、レシピにパンをひたす時間を入れましたが、これは目安と考えてください。パンによって、吸収率はそれぞれです。バットに入れたフレンチ液を、すべて吸いきるまでしっかり漬け込むこと。すると、自然に、中央までふるふるとした味わいのおいしいフレンチトーストになるはずです」
さらに、焼きはじめたら、むやみにいじらないように。
「何度もひっくり返すと、ふっくら感がなくなります。ふたをして、じっと待ち、何もしない。これが、おいしく仕上げるコツです」
※ トースターは1,200Wのものを使用。
※ フレンチ液は材料をすべてボウルに合わせ、よく混ぜてバットに移す。
ベーグルで
ベーグルフレンチトースト
このもっちり感は、格別。じんわりおいしさが広がります。
【フレンチ液】
● 溶き玉子 1/2個分
● ヨーグルト 大さじ4
● 牛乳 100ml
● きび砂糖 大さじ2
ひたす時間 ひと晩
材料とつくり方
1 ベーグルは厚さを半分にスライスし、表面にフォークで穴をあける
2 フレンチ液と一緒に密閉容器に入れて、ひと晩置く(途中、裏表を返す)
3 フライパンにバター10gを熱し、パンを入れ、ふたをして弱めの中火で3分ほど焼く
4 焼き色がついたら返し、ふたをして弱火で2分ほど焼く。火を止め、ふたをしたまま1分ほど蒸らす
5 仕上げに、はちみつを適量かける。
8枚切り食パンで
ミルフィーユフレンチトースト
つぶしたパンをパイに見立てた、まるでケーキのようなひと皿。
【フレンチ液】
● 溶き玉子 1/2個分
● 牛乳 50ml
● きび砂糖 大さじ1/2
ひたす時間 30分
材料とつくり方
1 8枚切り食パンは耳を落として4等分にし、それぞれをめん棒で押しつぶして平たくする
2 フレンチ液に、途中、返しながら30分ひたす
3 フライパンにバター5gを熱し、パンを入れ、ふたをして弱めの中火で2分ほど焼く
4 こんがりと焼き色がついたら返し、ふたを取って弱火で1分ほど焼く
5 焼き上がったらそれぞれにいちごジャムを適量ぬって、層状に重ねる
丸形ぶどうパンで
ぶどうパンでフレンチトースト
干しぶどうの甘酸っぱいまろやかな味わいがアクセントに。
【フレンチ液】
● 溶き玉子 1/2個分
● 牛乳 50ml
● きび砂糖 大さじ1/2
ひたす時間 1時間
材料とつくり方
1 丸形ぶどうパンを横から半分にカットする
2 フレンチ液に、途中、返しながら1時間ひたす
3 フライパンにバター5gを熱し、パンを入れ、ふたをして弱めの中火で3分ほど焼く
4 こんがりと焼き色がついたら返し、ふたをして弱火で2分ほど焼く
5 仕上げにメープルシロップを適量かける
イングリッシュマフィンで
ココアフレンチトースト
見た目もインパクト大。ほろ苦いココアの大人味。
【フレンチ液】
● 溶き玉子 1/2個分
● 牛乳 80ml
● きび砂糖 大さじ1
● ココアパウダー 小さじ1
ひたす時間 30分
材料とつくり方
1 イングリッシュマフィンは厚さ半分にスライスし、フレンチ液に、途中、返しながら30分ひたす
2 フライパンにバター5gを熱し、パンを入れ、ふたをして弱めの中火で2分ほど焼く
3 焼き色がついたら返し、ふたをして弱火で2分ほど焼く
4 焼き上がったらマーマレードとココアパウダーをトッピングする
バゲットで
ピカタ風フレンチトースト
こげたチーズのカリカリがたまらない、甘くないフレンチトースト。
【フレンチ液】
● 溶き玉子 2個分
● 塩小さじ 1/3
● 粗びき黒こしょう 少々
ひたす時間 1時間
材料とつくり方
1 バゲットは12cm長さに切る
2 横半分に切り、表面にフォークで穴をあける
3 フレンチ液に、途中、返しながら1時間ひたす
4 フライパンにバター5gを熱し、パンの断面に粉チーズ大さじ1ずつをのせ、断面を下にして入れる
5 ふたをして弱めの中火で3分ほど焼く
6 こんがりと焼き色がついたら返し、ふたをして弱火で2分ほど焼く
7 火を止め、ふたをしたまま1分ほど蒸らす
8 焼き上がったら粉チーズ、粗びき黒こしょう各少々をふる
6枚切り食パンで
カラメルフレンチトースト
香ばしいカラメルが、ますます食欲をそそります。
【フレンチ液】
● 溶き玉子 1/2個分
● 牛乳 80ml
● きび砂糖 大さじ1
ひたす時間 30分
材料とつくり方
1 6枚切り食パンを縦4等分に切る
2 フレンチ液に、途中、返しながら30分ひたす
3 〈カラメルソースをつくる〉
・小鍋にグラニュー糖50gと水大さじ1を入れ、中火にかける
・茶色くなったら火を止めて余熱でこがし、そこに熱湯大さじ3を加え、ゴムべらで混ぜる
4 フライパンにバター5gを熱し、パンを入れ、ふたをして弱めの中火で2分30秒〜3分焼く
5 こんがりと焼き色がついたら返し、ふたをして弱火で2分ほど焼く
6 仕上げにカラメルソースをからめる
パンの耳で
パンの耳でフレンチトースト
残った耳も、おいしいフィンガーフードに変身。
【フレンチ液】
● 溶き玉子 1個分
● 牛乳 100ml
● きび砂糖 大さじ2
● クリームチーズ 40g
ひたす時間 1時間
材料とつくり方
1 フレンチ液にパンの耳8本を、途中、返しながら1時間ひたす
2 フライパンにバター5gを熱し、パンの耳を入れ、ふたをして弱めの中火で2分ほど焼く
3 焼き色がついたら返し、ふたを取って弱火で2分ほど焼く
4 仕上げにメープルシロップを適量かける
<料理/金子健一(つむぎや) 撮影/有賀傑 取材・文/福山雅美>
金子健一(かねこ・けんいち)
料理家。1974年神奈川県横浜生まれ。学生時代、和食店でのアルバイトがきっかけで調理師免許を取得。コピーライターを経てパン職人の道へ。東京・中目黒、原宿で愛されていたパン屋「オパトカ」の店長としてメニュー開発にも携わる。そののち、2005年にマツーラユタカとともにフードユニット 「つむぎや」を結成。ケータリング、イベント、雑誌へのレシピ提案など幅広く活躍している。2017年に妻の地元長野県松本市に拠点を移し、ご縁のある農家さんのお野菜などを中心に旬を味わう食堂「Alps gohan」をオープン。『あっぱれ!おにぎり』(金園社)、『和食つまみ100』(主婦と生活社)、『お昼が一番楽しみになるお弁当』(すばる舎)など著書多数。2020年1月22日に著書『ぱんぱかパン図鑑』が電子書籍で復刊したばかり。
Alps gohan Instagram @alps.gohan
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです