『天然生活』誌上に、2012年11月号から2014年3月号まで掲載された、人気連載「松田美智子の季節の仕事」。その中から、「ぬか漬け」を取り上げた記事を紹介します。今回は、「ぬか床」を準備して「野菜のぬか漬け」をつくります。
(『天然生活』2013年4月号掲載)
ぬか漬け | 2月~
ぬか床で野菜をリメイク 松田美智子
実家の食卓には、いつもぬか漬けがあったという松田美智子さん。
「結婚と同時に、祖母から母へ受け継がれたぬか床を分けてもらい、ぬか漬けをつくりはじめましたが、思うようにいきませんでした。試行錯誤しながら、冷蔵庫で管理できるぬか床にして、ようやく味も安定。いまにいたっています」
手入れが楽になったばかりでなく、冷蔵庫で保存するため、ぬか床に入れる塩分量が少なくてすみ、健康の面でもメリットがあります。かぶやにんじんなどベーシックな野菜だけでなく、アスパラガスやしいたけなど、従来はぬか漬けにしなかった野菜も漬けられ、サラダ感覚でいただけます。
また、松田さんは、ぬか床を「野菜の再生工場」と呼んでいます。それは、残ったしょうがや玉ねぎなど、捨てずに漬ければ立派な一品になり、ゴミもぐんと減るからです。
初めてぬか床に挑戦すると、水が出たり、表面が変色したり、これで大丈夫かしら?と思うことも。でも、心配は無用。
「水がたまっていたらくぼみをつくって水をためて、キッチンペーパーで吸い取ります。変色していたら、表面だけ取り除き、新たに、ぬか、塩、辛子を足します。そうした処置で、大方の場合はOK。乳酸菌が生きているってすごいことですね。必ず再生しますから」
ぬか床のつくり方
サラダ感覚の浅漬けから、古漬けの炒めものまで、さまざまな段階で、ぬか漬けを楽しんで。
材料(つくりやすい分量)
● 炒りぬか | 1kg |
● 熱湯 | 1リットル |
● 塩 | 100g |
● 大豆 | 1/3カップ |
● 昆布 | 5cm角1枚 |
● 和辛子 | 小さじ1 |
● 赤とうがらし(種を除く) | 1本 |
● しょうが(皮付きのまま5㎜厚さに切る) | 30g |
● キャベツ(捨て漬け用) | 1/2個 |
※ あれば、山椒の実しょうゆ漬け、花椒(ホワジャオ)、かつお節の端なども加えるとよい。
つくり方
1 写真左上から順に、熱湯、炒りぬか、鉄球(漬物の色をよくする)、昆布、キャベツ、大豆、和辛子、塩、しょうが、赤とうがらし。
2 ホウロウなどの大きな容器に炒りぬかを入れ、和辛子、大豆を加え混ぜる。
3 塩を溶かした熱湯を注ぎ混ぜ、熱いうちに昆布、赤とうがらしを加え、粗熱を取る。
4 3をホウロウの小さな容器(冷蔵庫に入るサイズ)に移す。しょうがと、キャベツの葉2~3枚ずつを、ぬかの間にはさみながら、均等に詰める。
5 鉄球も埋め、容器の側面の汚れをペーパータオルなどでふき取り、野菜が空気に触れないように注意しながら、表面を平らに整える。
6 最初の10日間は、一日一回、大きなボウルにあけ、全体を混ぜて空気に触れさせ、ホウロウ容器に詰め直す。そのあと、本漬け用の野菜を漬ける。
野菜のぬか漬け
ぬか床ができたら本漬け。約1日ででき上がります。
材料(一回で漬けやすい分量)
● かぶ | 2個 |
● きゅうり | 1本 |
● にんじん | 4cm長さ |
● アスパラガス | 3本 |
● 新ごぼう(細め) | 10cm |
● しいたけ | 3枚 |
● 塩 | 適量 |
つくり方
1 〈下ごしらえ〉かぶは茎を落とし、5mmほどの切り込みを入れる。茎は10cm長さに切り、輪ゴムで束ねる。きゅうりは両端を落とし、半分の長さに切る。にんじんは5cm長さに切り、太い部分は縦半分に切る。アスパラガスは、かたい部分を落とす。新ごぼうは泥を落としてよく洗い、10cm長さに切る。しいたけは軸のかたい部分を落とす。
2 塩少量を手に取り、野菜をのせて全体にまぶして、ぬか床に漬ける。やわらかい野菜ひとつにつき塩小さじ1/6、かたい野菜で塩小さじ1/3が目安。
3 半日から1日たって、ほどよく漬かったら容器から取り出す。さっと水洗いし、それぞれ食べやすい大きさに切り、器に盛る。
4 取り出したあとは、余分なぬかは容器に戻し、上下を返すように全体を混ぜ、ペーパータオルなどできれいにふき取り、表面をならしておく。
<料理/松田美智子 撮影/川村 隆 取材・文/小松宏子>
松田美智子(まつだ・みちこ)
日本料理をベースにした家庭料理の教室を主宰。鎌倉で育った子ども時代から身近だった四季の保存食づくりをベースに、現代の生活でも無理なくできる、季節の食の楽しみを提案。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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