(『修道院のお菓子』より)
聖ホセのクリーム「Crema Catalana(クレマ・カタラーナ)」
イエス・キリストの養父ホセ(聖ヨセフ)の日、3月19日は父の日でもあります。
その日の特別なお菓子は、クレマ・カタラーナ。
聖ホセのクリームとも呼ばれ、カタルニア地方で生まれ、いまではスペイン全土で愛されているクリーム菓子です。
このお菓子にはこんな逸話があります。
あるとき、司教さまが修道院を訪れ、修道女たちが料理をつくってもてなすことになりました。遅れて訪ずれた司教は大急ぎで食事を進めることに。
そこで、あわてた修道女たちは、プリンを失敗してしまいます。それでコーンスターチを入れて固めようと試みます。
司教は待ち切れずデザートを急がせ、修道女たちはまだ冷めていない「プリン」を運ぶことに。
熱い「プリン」を食べた司教は、あまりの熱さに「やけどするほど熱い!」と叫んだとか。しかし、その味は格別。司教は喜んでやけどしないように上手に食べつづけました。
それで別名「ケマーダ(スペイン語でやけどした)」とも呼ばれているのだとか。
Crema Catalana(クレマ・カタラーナ)のつくり方
材料(直径10cmの器 4個分)
● 牛乳 | 300ml + 125ml |
● シナモンスティック | 1本 |
● レモン(国産)の皮 | 1/4個分 |
● 卵黄 | 2個分 |
● グラニュー糖 | 大さじ1と1/2 |
● コーンスターチ | 大さじ1と1/2 |
〈仕上げ〉 | |
・グラニュー糖 | 小さじ8 |
つくり方
1 鍋に牛乳300ml、シナモンスティック、レモンの皮を入れ、5分ほど弱火で煮込む。ざるでこしてボウルに入れ、粗熱をとる。
2 卵黄、グラニュー糖を混ぜ、1に加える。ダマにならないように木ベらで混ぜる。
3 別の鍋にコーンスターチ、牛乳125mlを入れて混ぜる。2を加え、弱火でとろりとするまで木ベらで同じ方向に混ぜる。器に注ぎ、冷蔵庫で冷やす。
4 食べる直前に、グラニュー糖を、ひと皿に対して小さじ2をふり入れる。スプーンをガスの火にがざして赤くなるまで熱し、背を押し付けて、表面を焼く(100円ショップなどで購入した、惜しげなく使えるスプーンを使う)。
<撮影/清水奈緒 スタイリング/大谷マキ>
丸山久美(まるやま・くみ)
料理家。東京生まれ。スペイン家庭料理教室「Mi Mesa」主宰。アメリカ留学後、ツアーコンダクターとして世界各地をまわる。1986年からスペインのマドリードに14年滞在。現地の料理教室に通いながら、家庭料理を学ぶ。この間に、修道院めぐりを始める。帰国後、スペインの家庭料理をベースにしたレシピを紹介。著書に『家庭でつくれるスペイン料理』(河出書房新社)、『週末はパエリャ名人』(文化出版局)、『ひんやりスープ』(誠文堂新光社)など。2020年2月に『修道院のお菓子』が扶桑社より復刊。
https://www.k-maruyama.com/