(『天然生活』2013年8月号掲載)
にんにく味噌床 | 7月~
にんにくパワーで夏バテ知らず 松田美智子
「味噌やにんにくを足しながら使いつづけて、かれこれ30年になります。豚肉、とり肉、牛たたき、モツァレラチーズ、にんじん、ごぼうと、何を漬けてもおいしいので、にんにく味噌は手離せません」と松田美智子さんはいいます。
つくり方は、味の系統の違う2種の味噌と酒を混ぜ合わせた中ににんにくを漬け込むだけと、いたってシンプル。にんにくがなじんで風味豊かになると同時に、漬けた素材のうま味が溶け込んで、どんどん味わい深くなります。
そもそもは、実家に贈られた牛肉の味噌漬けをまねて工夫をしているうちに、にんにくを加える方法を思いつき、いまに至るのだそう。
塩分濃度が高いので、味噌床自体が悪くなることはなく、豚肩ロース肉で6~8時間と、短時間で漬かるのも利点。
しかも、野菜が漬かりすぎても細かくきざめば、お茶漬けの具になるし、炒めものの調味料代わりにもなるので心配無用です。
味噌汁やドレッシングに加えてコクを出したり、ごま油と紹興酒で溶いて回鍋肉に使ったりと、調味料としても活用できます。
「にんにく味噌床があれば、野菜の切れ端や、残ったお刺し身、かまぼこなども、漬けるだけで気の利いた一品料理になります。合理的に素材を使いきるというエコの観点からも、役立ちますよ」
にんにく味噌床のつくり方
豚肉、とり肉、牛肉から魚や野菜まで、どんな素材でも豊かな味わいになる万能の味噌床。使いつづけることで、うま味が増していくのも楽しみです。みずみずしい新にんにくの時季に仕込みましょう。
材料(つくりやすい分量)
● 田舎味噌 | 500g |
● 豆味噌 | 500g |
● にんにく | 1玉 |
● 酒 | 1/4~1/2カップ |
つくり方
1 にんにくは皮をむき、大きさによって縦半分~4等分に切り、芽を取り除く。
2 ボウルに好みの味噌2種と酒を入れて混ぜ合わせる。味噌は、ふだん使っているものと、もう一種は味の系統の違うものを合わせるとよい。
3 なめらかに混ざったら、ホウロウなどの密閉容器に移し、1のにんにくを空気に触れないように埋め、冷蔵庫で2週間ほどねかせ、なじませる。
4 左は漬けたばかりの状態。右は約10年使いつづけている味噌床。右は、熟成によって、にんにくが黒くなっているのがわかる。
<料理/松田美智子 撮影/川村 隆 取材・文/小松宏子>
松田美智子(まつだ・みちこ)
日本料理をベースにした家庭料理の教室を主宰。鎌倉で育った子ども時代から身近だった四季の保存食づくりをベースに、現代の生活でも無理なくできる、季節の食の楽しみを提案。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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