(『天然生活』2013年7月号掲載)
まずは歯の状態をチェック
歯の表面の色は?
虫歯や着色汚れがなく、艶やかで透明感のある白い歯が理想的
歯ぐきの色は?
きれいなピンク色で引き締まっていれば健康。出血がないかも確認を
痛みはないか?
歯が痛む場合は虫歯や知覚過敏、歯ぐきが痛むなら歯周病を疑って
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ごはんをおいしくいただくこと、清潔感のあるさわやかな笑顔、どちらにも欠かせないのが健康な白い歯。
幾つになっても歯をすこやかに保つには、どんなケアが必要でしょうか。
デンタルケアが盛んなドイツやスウェーデンの事情に詳しい、デンタルケア用品専門店「メガデント」の酒向淳さんにお話を伺いました。
「ドイツでは “ツァーンフェー(歯の妖精)は幸せを運ぶ” といわれ、国を挙げてデンタルケアに積極的です。日本だと、歯医者に通っている間は、正しいみがき方を意識して一生懸命ケアするものの、治療が終わるとおざなりになってしまう人がまだ多いですね。肌のお手入れに手間をかけるのと同じくらい、歯のケアにも力を入れましょう。まずは自分の口内環境をきちんと知ることです」
歯の状態のチェックから始めましょう。
「健康な歯は、歯の表面のエナメル質がつやのある透明な白さを保ち、歯ぐきは健康的なピンク色で引き締まっています。痛みがあるときは、痛みの原因を見極めましょう。冷たいものを飲んで歯が痛むのは、歯ぐきが下がって歯の根元の神経が露出した、知覚過敏の状態かもしれません。甘いもので歯がしみる場合は、虫歯が原因である可能性が高いです」
虫歯は、どのようにして起こるのでしょうか?
「歯の表面につく『歯垢』こそが虫歯の原因です。歯垢は虫歯菌のかたまりで、食べ物の糖分を取り込んで酸をつくり、歯の表面のエナメル質を溶かしてしまいます。歯と同様に白っぽい色をしているので見落としやすく、放っておくと硬い『歯石』に変化して、歯周病になるリスクが高まります」
だからこそ、毎日のケアで歯垢を落とすことがとても大切です。
毎日、歯みがきをしていても、みがき残しがある人は意外と多いそう。正しいみがき方を習慣にして、歯の健康を守りましょう。
「歯ブラシが届きにくい歯と歯の間、奥歯の後ろ、カーブしていて歯ブラシが当たりにくい前歯の裏側は、みがき残しが多く、 “リスク部位” と呼ばれます。日本では普通の歯ブラシだけでみがきますが、ドイツなどでは複数のブラシを使い分けたり、歯みがきの前後にもケアを取り入れるのが一般的になっています。たとえば、歯と歯の間はフロスで効率よく汚れを落とし、そのあと歯ブラシで歯全体をみがく。このように複数のアイテムを組み合わせることで、同じ時間、歯みがきをした場合でも、みがき残しが50%以上も減るのです」
料理や掃除と同じように、デンタルケアでも便利な道具を上手に取り入れることで、より効果的なケアがかなえられるようです。
「口元からこぼれる白い歯は、美しい宝石のようなもの。正しいケアで健康な歯を守ってください」
みがき残しの多い「リスク部位」
① 歯と歯の間
② 前歯の裏側
③ 奥歯の後ろ
〈取材・文/神坐陽子 イラスト/山下アキ〉
酒向淳(さこう・じゅん)
医学博士。メガデントジャパン代表取締役。東京・銀座でドイツ生まれのオーラルケア専門店「メガデント」を営む。オリジナルブランド「Johny」を中心に、高品質のケア用品を取り扱う。
http://www.megadent.co.jp/
山下アキ(やました・あき)/イラスト
パレットクラブ、安西水丸塾受講。上田三根子氏のアシスタントを経てフリーランスとなる。線画、点描のタッチを特徴とするイラストレーションを軸に書籍、雑誌、広告なとで活動中。2017年よりANA機内誌『翼の王国』で絵と文で全国の宿を紹介する「宿と一日」を不定期連載中。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです