(『天然生活』2013年7月号掲載)
歯みがき前のケア習慣
歯みがきの前にフロスや舌みがきをプラスすれば、歯垢の除去率はぐんとアップ。より効果的にケアできます。
フロスで歯と歯の間をみがく
歯と歯の間や歯周ポケットは歯垢がたまりやすく、虫歯菌が繁殖しやすい場所です。
歯ブラシだけで汚れを落とすのは難しいですが、極細の繊維で汚れをかき出すフロスを使えば効率よくきれいにできます。
歯のすき間に隠れた歯垢を落とすのは、口臭対策としても効果的。
フロスはワックスつきのものとワックスなしのものがありますが、フロス初心者や、歯の間が狭い人にはワックスタイプがおすすめです。
1 フロスを指に巻きつけて持つ
フロスを40cmほどの長さに切り、左右の中指に、10~15cmの間隔になるよう巻きつける。親指と人さし指でフロスをつまみ、ピンと張る。
2 歯と歯の間にゆっくり挿入
フロスを前後に小さく動かしながら、歯と歯の間にゆっくり挿入する。力を入れて一気に通すと歯ぐきを傷つけることがあるので注意して。
3 前後に動かし、こすって落とす
フロスを歯に巻きつけるようにして前後に動かしながら、歯の側面を上下にこすり、歯垢を落とす。歯周ポケットにも浅く入れて汚れを取る。
4 常にフロスの清潔な部分を使って
使い終わったフロスには歯垢が付いているので、一カ所ごとに汚れた部分を指で巻き取り、清潔な部分を送り出しながら、すべての歯をみがく。
5 初心者はホルダー型のものから
フロスには、必要な分だけ糸を繰り出し、切って使う「糸巻き型」と、柄の付いた「ホルダー型」がある。慣れないうちはホルダー型が使いやすい。
歯間ブラシは部分的に使う
「歯間ブラシ」は歯と歯の間が広く開いた部分にだけ使いましょう。ブラシの先端2~3mmを歯間に差し込み、小刻みに動かして歯垢を取ります。
ブラシを歯間に貫通させたり使いすぎたりすると歯ぐきを傷めることがあるので、1日1回、表裏に分けてみがきます。
ブラシは歯間に合った太さで、根元まで毛があるものを選んで。
口臭の予防には舌みがきを
舌の表面に食べかすや古い細胞などの汚れがたまると、においが発生し、口臭の原因に。歯みがき前に専用のブラシで舌の奥から先へ軽くこすり、汚れを取りましょう。
舌に付着した虫歯菌も除去でき、虫歯の予防にも有効です。
慣れない人や、舌が敏感な人の場合、ゴム製などの柔らかい舌ブラシを選ぶと、えづきにくく、おすすめです。
効果的な歯みがきのタイミング
みがき残しを防ぐには、まずは毎食後の歯みがきを習慣にすること。
そして1日1回は、歯ブラシとフロスなど、複数の道具を使い分けるなどして集中的に歯垢を落とす「インテンシブケア」を行うことが重要です。
とりわけ、しっかり歯みがきしたいのは、夜、寝る前。睡眠中は口内細菌の繁殖を抑える唾液の分泌量がグンと減り、最も虫歯になりやすい時間帯です。
疲れていても、就寝前の歯みがきは忘れずに。
果物を食べたら歯みがきは30分後
果物など酸性の食品をとるとエナメル質が軟化し、歯みがきの摩擦で削れてしまうことも。唾液が酸を中和する30分後に歯みがきを。
昼も歯みがきする習慣を
昼食後に歯をみがく習慣がある人は、朝・晩に比べ、まだまだ少数派。携帯用電動歯ブラシなどを利用して、口内を常に清潔に保ちましょう。
〈取材・文/神坐陽子 イラスト/山下アキ〉
酒向淳(さこう・じゅん)
医学博士。メガデントジャパン代表取締役。東京・銀座でドイツ生まれのオーラルケア専門店「メガデント」を営む。オリジナルブランド「Johny」を中心に、高品質のケア用品を取り扱う。
http://www.megadent.co.jp/
山下アキ/イラスト(やました・あき)
パレットクラブ、安西水丸塾受講。上田三根子氏のアシスタントを経てフリーランスとなる。線画、点描のタッチを特徴とするイラストレーションを軸に書籍、雑誌、広告なとで活動中。2017年よりANA機内誌『翼の王国』で絵と文で全国の宿を紹介する「宿と一日」を不定期連載中。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです