それぞれの役割
富山に来て2度目の春から早くも初夏の兆しが訪れています。巣巣の庭でもそれまで眠っていた草木が一気に芽吹き、梅に続き、桜、水仙、椿、スノードロップ、ムスカリ、ハナミズキ、シャガ、ツツジなど次から次へといろいろな花が順に咲いています。
特に今年は椿の当たり年なのか、一つ一つの木にびっくりするほどの花が付き、店の中にもふんだんに飾っています。冬枯れだった樹々も新緑の瑞々しい美しさを放ちながら、瞬く間に葉を広げていきました。
油断していたらあっという間に雑草たちも元気よく成長していました。これから12月ぐらいまでは、ひたすらコツコツ草取りの日々です。溜めると大変になるし、膝にも負担が大きいので、毎日20分ぐらいを心がけています。
ご近所の皆さんも、待ち構えたように田畑に繰り出し、春の準備にいとまがありません。草を抜き畝をきちんと整え、肥料を入れ、順に苗を植え初めています。5月に入り田植えも始まりました。
私も今年は少しでも野菜を育てたいと思い、鍬を振るって空き地を開墾、一坪くらいの畑を耕してみました。
ご近所農家さんから野菜づくりについて色々教えてもらい、トマトやピーマンなどの苗を植え、夏の収穫を楽しみにしています。
この季節は、立山連峰はまだまだ雪に覆われていて、近くの低い山はみずみずしい新緑の若草色。日差しも穏やかで、厳しい寒さからも解放され、空気は澄んで景色もとても美しく、日毎に日も伸びて人々は喜びに満たされています。
冬が厳しいだけに、暖かくなっていく日々の喜びがひとしおに感じられるのでしょう。
冬の間お休みしていた巣巣では3月から営業を再開し、一つ目の作品展も無事に終わりました。
彫刻家はしもとみおさんの「世界でひとつの木彫展」と、富山在住のガラス作家金津沙矢香さんの作品展でした。どちらの作家さんとも友人を介した偶然の出会いから親しくなり、はしもとさんとは前の巣巣で5回、こちらに移ってからも2回目の展示、金津さんは今回が初めての展示でした。
はしもとさんも金津さんも、手で作り出されたひとつひとつの作品たちが本当に素晴らしく、美しいエネルギーにあふれていて、見ているだけで心が満たされるそんな作品展でした。引き続きご予約営業なので混雑もなく、来てくださった方々にもゆっくりと作品展を堪能していただけたかと思います。
最終日にはクロージングライブとして、以前より巣巣もはしもとさんも親交の深かったシンガーソングライターの山田稔明さんが、たくさんの機材とともに駆けつけてくれました。
夕暮れ時の店内で無観客ライブを行い、ライブとトーク、店内の展示の様子を撮影。有料配信ライブで、これまで富山の巣巣まで来れなかった方にも巣巣の様子を見ていただけることになりました。
こうして店頭で、配信で、たくさんの人に楽しんでいただけて、良い時間・空間となりました。
日々の巣巣活動でよく感じるのですが、人にはそれぞれに役割がありますよね。
店を中心に考えると、お店をする人、ものを作り出す人、そして店に訪れてお買い物をする人。配達してくれる人。どれも大切な役割です。それら全てがあるからこそお店が成り立ちます。
音楽を奏でる人、美味しいお菓子を作る人、お料理でもてなす人、聴く人、美味しく食べる人などが加わって、さらに店の幅が広がります。
日常ではもっといろいろな場面があり、役割があり、みんな社会や暮らしや地域の中でたくさんのことに携わって活動しています。みなすべて欠かすことのできない重要な役割です。
全ての人たちが、そのひとつひとつの自分の役割に楽しく取り組めたらいいなあとつくづく感じます。
人として生まれ、ある程度の年齢になると、自分自身の今日の決断の積み重ねが、明日の自分を作っていきます。
誰のせいでもなく、誰のためでもなく。しっかりと自分自身の頭を使ってよく考えて。日々自分が楽しく心地よい状態、充実した状態になること、そこに持っていくようにすることが、まずは自分の大切な役割ではないでしょうか?
あれれ? なんか違うぞと思ったら、途中で方向転換をしたり、やり直したり、軌道修正をしたりしながら。何度でもどこからでも修正は可能です。
そうして、一人一人の人が自分の毎日の役割を楽しむこと。暮らしを、日々を、楽しいと感じる気持ちが、地球を支えているように感じるのです。
岩崎 朋子(いわさき・ともこ)
巣巣店主。世田谷区等々力で16年続けた家具と雑貨の店を閉店し、2020年6月富山県立山町で再オープン。New巣巣は雑貨を中心としたお茶も飲めるお店。バンド「草とten shoes」リーダー。
https://www.susu.co.jp/
富山県立山町鋳物師沢201−6