(『天然生活』2013年3月号掲載)
スープがあれば、食卓は安心
「スープの満足感って、なんでしょうね~?」
鍋をかき混ぜながら、坂田さんはこう切り出しました。
たしかに、スープはひと皿で完結OKな、ごちそう料理。忙しくて台所にゆっくり立てない、そんな日にもスープをひと鍋つくり置いておけば、食卓は安心です。
実際、坂田さんも、あわただしい撮影現場のまかない料理としてスープを用意しておくことが多いのだとか。
おいしくつくるコツは、きちんとスープストックをとること。市販のコンソメや顆粒だしにはない、繊細で奥行きある味が生まれます。
「ちょっと面倒に思うかもしれませんが、材料を切って鍋に放り込んで、ことこと煮るだけ。時間に余裕のあるときに、たくさんつくって保存しておけばいいですよ」
使い残しのにんじん、セロリの葉っぱ、キャベツの芯など、冷蔵庫に余りがちな野菜でつくれるのも頼もしい限りです。
今回は、こっくりマイルドな白いスープ「クラムチャウダー」のつくり方を紹介します。
* スープストックのつくり方
スープのおいしさの素、ストックをつくりましょう。
ここではチキンと野菜のストックを紹介します。
どちらも保存容器に入れて冷蔵庫で3~4日保存可能。すぐに使わない場合は冷凍庫へ。
チキンスープストック
材料(でき上がり約2L分)
・ とりガラ 1羽分
・ セロリ(葉付き) 1本
・ にんじん 1本
・ 玉ねぎ 1個
つくり方
1 とりガラは洗って水けをふき、骨ごと切れるところはぶつ切りに。首の部分は3~4等分のぶつ切りに。
2 セロリは3cm幅の斜め切り、葉はざく切りにする。にんじんは斜め切りに、玉ねぎはざく切りにする。とりガラと鍋に入れ水3.5Lを注ぐ。
3 2を強火にかけ、ときどき軽く混ぜながら煮立てる。煮立ったら火を弱め、あくを取り除く。
4 表面が軽く揺れるくらいの火加減で1時間半ほど煮る。
5 ペーパータオルを敷いたざるをボウルにのせ、4をこす。
野菜スープストック
材料(でき上がり約1.5L分)
・ 玉ねぎ 1個
・ キャベツ 小1/4~1/6個
・ にんじん 1本
・ セロリ(葉付き) 1本
・ にんにく 2片
・ パセリ 1~2枝
つくり方
1 玉ねぎとキャベツは小さめのざく切りに、にんじんとセロリは1cm幅のざく切りに。セロリの葉はざく切りにする。にんにくはつぶし、パセリは長さ半分に切る。
2 鍋に1を入れ、水3L(分量外)を注いで強火にかけ、煮立ったら火を少し弱め、あくを取り除く。表面が軽く揺れるくらいの火加減で40分ほど煮る。
3 ペーパータオルを敷いたざるをボウルにのせ、2をこす。
※ スープストックをつくらない場合は、市販のスープの素を使用。できれば添加物の少ない自然な味わいのものを選ぶようにする。
クラムチャウダーのつくり方
牛乳で仕上げたニューイングランド風の白いチャウダー。
口に広がるうま味とコク。あさりだしの底力を知るひと皿です。
材料(2人分)
● あさりまたははまぐり(殻付き) | 400g |
● 水 | 1/2カップ |
● ブロックベーコン | 70g |
● 玉ねぎ | 1/2個 |
● セロリ、長ねぎ | 各1/2本 |
● じゃがいも | 2個 |
● 小麦粉(あれば強力粉) | 大さじ2と1/2 |
● 野菜スープストック(*) | 2カップ |
● 牛乳 | 150mL |
● 生クリーム | 50mL |
● バター | 20g |
● 塩 | 小さじ2/3 |
● こしょう | 適量 |
つくり方
1 あさりは塩水(分量外)につけて砂出しし、分量の水と一緒に鍋に入れ、ふたをして火にかけ、口が開くまで蒸し煮する。だし汁と貝を分ける。
2 ベーコン、玉ねぎ、セロリは1cm角切りに、じゃがいもは皮をむき2cm角切りに、長ねぎは小口切りにする。
3 鍋にバターを熱し、ベーコンを炒め脂が出てきたら、長ねぎ、玉ねぎ、セロリを加えてじっくりと炒める。小麦粉を加えてなじむまで炒める。
4 3にあさりの蒸し汁を少しずつ加えて混ぜ、野菜スープストックを加える。ふたをしてじゃがいもがやわらかくなるまで煮る。
5 牛乳を加え、味をみて塩・こしょうをする。生クリームとあさりを最後に加える。
〈料理/坂田阿希子 撮影/有賀 傑 スタイリング/伊藤まさこ 構成・文/鈴木麻子(fika)〉
坂田阿希子(さかた・あきこ)
料理家。料理家アシスタント、フランス菓子店・料理店で経験を重ね、独立。2019年秋、代官山に「洋食KUCHIBUE」をオープン。著書に『ピラフとドリア』(立東舎)、『トマト・ブック』(東京書籍)など。