• パン用の米粉や白玉粉を用意して、好みの野菜を入れたパンを焼いてみましょう。アレルギーなどで小麦粉を食べられない人も、米粉100%のパンなら野菜と一緒に楽しめます。コツを覚えれば、短時間で手軽につくれるうえ、もちもち、しっとりとした食感も魅力です。
    (『天然生活』2018年5月号掲載)

    手間いらずで、毎日の白いごはんのような身近な存在に

    「お米の粉を使ったパンづくりは、作業工程が少なく、発酵時間も短い。おうちで焼くパンに、とても向いていると思います」

    ふだんの料理にも米粉をよく使うという、佐藤わか子さん。米粉にはグルテンがないので、揚げものやお菓子に使うとサクサクに仕上がるそうです。パンに使えばカリカリ、そしてふんわり。小麦粉のパンとは違う食感を楽しめます。

    「ですが、小麦粉のパンとはまったく異なるコツが必要なんです。まずは乾燥対策。焼く前の米粉の生地は、少しでも時間がたつと表面が乾いてひび割れてしまい、かたい焼き上がりに。だから段取りは重要。焼き始めにホイルをかぶせることも忘れないでくださいね」

    また、発酵後の生地は衝撃に弱く、台に強く置くと中の空気が抜け、膨らまない原因となることも。

    とはいえ、あまり神経質にならずにつくってほしい、と佐藤さん。

    ていねいにつくった米粉のパンは、ごはんとパンの中間のようなやさしい味。野菜を混ぜたりのせたりすれば、展開は無限に広がります。

    コツと流れを身につければ、手間いらずの、米の粉のパンづくり。毎日の白いごはんのように、身近な存在となってくれそうです。

    基本のミニ食パン(プレーン)をつくってみましょう

    基本の生地づくりをマスターしましょう。

    こねずに、混ぜるだけ。発酵は1回です。

    米粉によって仕上がりに違いが出るので、できれば「製パン用」を使用してください。

    画像: 基本のミニ食パン(プレーン)をつくってみましょう

    材料(6.5×12×高さ5cmのパウンドケーキ型1台分)

    ● 製パン用の米粉(*)90g
    ● コーンスターチ10g
    ● 塩小さじ1/4
    ● きび砂糖小さじ1と1/2
    ● ドライイースト小さじ1/2
    ● 米油(または植物油)小さじ1
    ● 湯(35~40℃)80~85mL

    *製菓用の米粉では、生地が膨らまないことがあります。

    *パン専用米粉「ミズホチカラ」を使用する場合は、コーンスターチを入れず、米粉を100gにしてください。

    下準備

    型に米油(分量外)をぬり、型に合わせて切ったオーブンシートを敷いておく。ラップと輪ゴム、あればゴムべらを用意しておく。

    画像: 下準備

    つくり方

     ボウルに米粉、コーンスターチ、塩、きび砂糖、ドライイーストを入れ、泡立て器で軽くかき混ぜる。

    画像1: つくり方

     湯を小さじ1くらい残して加える。

    画像2: つくり方

     粉っぽさがなくなるまで、かき混ぜる(ボウルの周りに付いた生地は乾燥しやすいので、ときどきゴムべらで中に入れるとよい)。

    画像3: つくり方

     米油を加えて、かき混ぜる。

    画像4: つくり方

     生地がかたいようなら、残しておいた湯を少しずつ入れて混ぜる。

    画像5: つくり方

     写真のように、とろりと流れるかたさまで調整する。生地にツヤがあり、なめらかになるまで2~3分、かき混ぜる。

    画像6: つくり方

     生地を手早く型に流し入れ、乾燥しないようにラップをして、側面を輪ゴムで留める。

    画像7: つくり方

     オーブンの発酵機能を使い、35℃で15~25分おき、2倍弱に膨らませ(常温で発酵させる場合は、生地が2倍弱の膨らみになるまでおく)、ラップを取る。

    画像8: つくり方

     膨らんだときに生地が付かないよう、高さを出してオーブンシート、アルミホイル(二重)を順にかぶせる。160℃に予熱したオーブンで10分、200℃に上げて15分焼く。

    画像9: つくり方

    10 いったん、オーブンを開けてオーブンシートとアルミホイルを取り、さらに200℃で13~15分焼く。

    画像10: つくり方

    11 型から外し、オーブンシートを取って網にのせる。切り分ける際は、粗熱が取れてから。

    画像11: つくり方

    アレンジ
    ほうれんそうミニ食パンと、にんじんミニ食パン

    画像: ほうれんそうミニ食パン(写真中央)と、にんじんミニ食パン(写真左)

    ほうれんそうミニ食パン(写真中央)と、にんじんミニ食パン(写真左)

    プレーンなミニ食パンに野菜を混ぜ込めば、風味豊かな野菜パンに。

    スライスして軽く表面を焼くと、カリカリともっちりの両方を楽しめます。

    にんじんミニ食パンの材料(6.5×12×高さ5cmのパウンドケーキ型1台分)

    ● 基本のミニ食パンの材料1台分
    ● にんじん(生のまますりおろし、水けを軽くきったもの)30g

    ほうれんそうミニ食パンの材料(6.5×12×高さ5cmのパウンドケーキ型1台分)

    ● 基本のミニ食パンの材料1台分
    ● ほうれんそう(やわらかくゆで、水けをしっかりときってみじん切りにしたもの)30g

    つくり方

     「基本のミニ食パン」と同様に生地をつくりはじめ、工程で油とともにほうれんそう、またはにんじんを加えて、よく混ぜ合わせる。

     工程以降も同様につくり、焼き上げる。




    〈料理・スタイリング/佐藤わか子 撮影/広瀬貴子 取材・文/河合知子〉

    佐藤わか子(さとう・わかこ)
    各国料理研究家、栄養士。料理教室「Wakka Kitchen」主宰。世界各国でホームステイをして家庭料理を学ぶ。旬を大切にしながら、海外の台所の知恵やスパイスを取り入れた料理が評判。著書に『HUMMUS フムス 豆のペーストレシピ70』(朝日新聞出版)など。
    http://wakka-kitchen.com/

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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