春といえば、山菜ですよね
みなさんこんにちは。愛媛で小さな自給自足を楽しんでいる池田じゅんみです。
ひと雨ごとに寒さがゆるみ、うぐいすが鳴きはじめ、春がやってきました。冬ごもりに名残を惜しみながら、さてさて私も活動開始です。
つくし、のびる、うど、せり、ふきのとう、わらびなどなど、続々と土から顔をのぞかせて、山菜シーズンの到来です。海ではわかめとひじきを採りに行く時期とも重なるので、そわそわ、ワクワク、落ち着きません。頭の中がおいしいものでいっぱいになる楽しい3月です。
山菜採りには、修行が必要です
山菜野草はまだまだ詳しくないものの、図鑑をぱらぱらめくったり、土地の方々から教わったり、少しずつ学んでいるところです。
見つけるのも見分け方も簡単ではありません。有毒なものは怖いので、かなり慎重になりますし、経験値が必要なのも分かりました。
35歳まで緑少ない関西の都会で暮らしていたので、山菜野草を意識したことがなく、見るのも、食べるのも、初めてのものばかり(さすがに、よもぎぐらいは知っていました)。
種類も、食べ方も、あく抜きも、全くわからないゼロからのスタートです。
移住後に初めてつくしも見ましたし、ましてや食べるなんて! えええ~! もうホントにホントに驚きました。逆に、つくしも見たことない私の無知っぷりに、皆さん相当驚かれます。
「じゅんちゃんは一体どんなところに住んでたんや」と。
庭の雑草だと思っていたひとつひとつに目を凝らしてみると、食べられるものの多いこと。春だと「からすのえんどう」「はこべ」「すぎな」「おおばこ」「なずな」などなど、すぐそばにいるではないですか。これぞ灯台下暗しというのですよね。
私の好きな山菜ランキング
実際に食べてみておいしくないもの。調理に手間がかかりすぎるもの。ここでは、それぞれの植物の個性を体感してきた、私のお気に入りたちを紹介したいと思います。
1位 のびる
まずは私のベストオブ野草ののびるをご紹介します! いきなり1位の発表です。
よくある自給自足番組によく出てくるのびる(はだしで草っぱらを駆けまわる田舎暮らしの子どもたちが、摘みたてののびるに味噌をつけて、おやつにしている様子に憧れていました)。
山のお師匠さんの畑に大群生しているのびるを毎年たっぷり分けていただいています。
味は、にら+ねぎ+らっきょうを合わせてしっかりした歯ごたえのある香味野菜的な感じで、薬味大好きな私はすぐに大好物になりました。
刻んでいると玉ねぎのように目が痛くなって涙が出ます。にらとねぎの代用としても重宝しますし、味噌汁はもちろん、のびる餃子やのびるパスタ、のびるキムチや和え物、のびるチヂミなど、活用の幅も広く色んな料理に大活躍します。
庭でも栽培しています。毒のあるスイセンに間違えやすいので気を付けてください。
2位 いたどり
「のびる」と並ぶ、大のお気に入りの「いたどり」。
コンクリートを突き破るほどの生命力で厄介者であったりしますが、味は酸味があってさっぱり系。炒めてもしっかりのこるシャキシャキした歯ごたえがクセになり、いくらでも食べてしまいそうになるほどおいしいです。
わが家では豚肉でシンプルに炒めるのが定番。息子も夫も大好きな春のメニューです。
茹でてあく抜きする方法は私には難しかったので、塩漬けして一晩おく方法で失敗なくあく抜きしています。冷凍保存もできるので、いたどりの冷凍ストックもつくっておきます。
3位 つくし
独特の苦みがあるつくしは、好き嫌いが分かれます。
卵とじにして食べる方が多いですが、私は佃煮派。「はかま」という食べない部分を取り除く作業は、かなり根気もいるし、手指があくで黒ずんでしまうけれど、春には必ず食べたい食材のひとつ。
白ごはんにのけってシンプルに食べるのが好きです。お弁当の副菜としても重宝してます。
コラム「つくしのはかま取り」
はかま取りは時間と根気のいる作業。あくで黒ずむ手指の汚れは数日とれません。息子はつくしを食べないけど、小さなころから「はかま取り」は楽しんでしてくれます。
4位 ふきのとう
ふきのとうにようやく出合えたのは去年のこと。
温暖な愛媛では、ふきのとうがほかの草に埋もれて、なかなか見つけられずにいました。
自宅近辺では難しいので、積雪地域の義父から引き継いだ山へ。まだ下草が生えていないタイミングを見計らって行ってみると、予感的中!
鮮やかな黄緑色がよく映えてすぐに発見できました。数分でかごいっぱいに。やったー。
5位 わさび
ついでに自生している天然わさびも採りに、小さな沢まで約20分の登山。
食べる分だけ収穫し、沢で泥を落として持ち帰ります。葉はお漬物に、根はおろし金ですりたてをごはんにのっけてしょうゆを垂らすだけでごちそうになります。
義父からわさびの場所も引き継ぎ、大事にしていこうと思っています。
6位 わらび
山のお師匠さんに連れていってもらったわらびの大群生の場所。山道を抜けた先にある開けた所に、あたり一面がわらびで埋め尽くされている景色に圧倒されました。
下山してからすぐに、あく抜きの仕方も実際に目の前で教えてもらったのに、自宅でやってみると、ん? なんだか違う……。えぐみが完全にとり切れるようになるのにも、まだまだ経験値がいりそうです。
コラム「山のお師匠さんの知恵」
わらびは木灰をたっぷりまぶした後に、熱湯をまわしかけるあく抜き方法を教わりました。
7位 せり
せりは何度も食べてきた野草。でもそれはいつも山のお師匠さんが摘んでおいてくださった安心なものでした。
あるとき、お師匠さんがいいました。
「せりを摘んでみとーみ(摘んでみよう)」
いざ、ひとりで探してみると、すべてが、どろぼう草(アメリカセンダングサ)でまさかの0点!
「わっはっはっはー!」
お師匠さんの大笑いが山に響き渡り、お腹がよじれるほど、ツボにハマったご様子……。私にはまだまだ険しいせり摘み。ドクせりにも注意が必要です。
コラム「わが家のせり料理」
せりの和え物、タルレチム(タルレ=のびる、チム=和える)という韓国料理のピリ辛和え物。せりはお鍋にしたり、焼き肉に包んで食べたり、韓国風のピリ辛和え物にしたりして、むしゃむしゃ食べます。
番外編「手づくり山菜スイーツ」
よもぎの焼き菓子
よもぎはとってもポピュラーで馴染みがありますね。
多くの方の一番身近な野草ではないでしょうか。よもぎの新芽はあくが少ないのでそのまま1~2分湯がき、フードプロセッサーでペースト状にして使います。
よもぎの若葉の春の香りが広がります。わが家では、スコーンや、マフィン、パンケーキの生地に混ぜ込み、若葉色の春のお菓子づくりに欠かせません。
よもぎとこしあんの渋い組合せでも子どもたちに好評で「またつくって!」と催促してくれました。ピースピース。
終わりに
野性味あふれる植物たちからエネルギーを少し分けてもらうと、心も身体も喜びます。
この豊かな自然環境が日常にあることが贅沢だと気づけているのは、都会暮らしをたっぷり経験したからこそ。
わくわくに満ちあふれているここでの暮らしが大好きです。